神伝魚心流開祖 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「落語・教祖列伝 神伝魚心流開祖」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 坂口安吾の小説と随筆は、とにかく生命力と迫力にあふれていて、ウワッと思う作品が多いんですけど、今回のは昔ばなしっぽい「カメ」という大食い男の不思議な成功譚というか滑稽譚なのでした。
 とにかく腹いっぱい食うためには何でもする馬鹿な男が、山でたらふく山菜を食ったり、食うためにたいそう働いたり、嫁さんをもらったり、食い意地がはりすぎていてだまされたり、という悪食の物語なのでした。「落語・教祖列伝」のなかの「神伝魚心流開祖」のお話しなんです。
 これが書かれたのは、過去数百年でもっとも飢餓が深刻だった時代なんです。いっぱい食うために、魚を追うための泳ぎも上達した。泥沼の底に住む悪食の亀みたいな生きかたを、説く指南書なのでした。作中で「ミソ漬のムスビは、うまいなア!」という発言があるんですが、こんなどうでもいいような記載に、なんだかすごい迫力がありました。
  

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