風と光と二十の私と 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「風と光と二十の私と」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これをぼくは五年くらい前に読んだのですが、再読してみました。安吾の若い頃を描きだした自伝的小説です。家が貧しかったので大学には行けず、「小学校の代用教員になった」安吾のことが記されています。「そのころ」「世田ヶ谷の下北沢」は「竹藪だらけで」「麦畑」と「原始林」につつまれた田舎だった……。
 小学校の先生をしていたほんの短い期間のことを中心に書いています。「コンニチハ一つ書くことのできない子供がいる。二十人もいるのだ。このてあいは教室の中で喧嘩ばかりして」いる。安吾のこの文章が印象にのこります。
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 本当に可愛いい子供は悪い子供の中にいる。子供はみんな可愛いいものだが、本当の美しい魂は悪い子供がもっているので、あたたかい思いや郷愁をもっている。こういう子供に無理に頭の痛くなる勉強を強いることはないので、その温い心や郷愁の念を心棒に強く生きさせるような性格を育ててやる方がいい。私はそういう主義で、彼等が仮名も書けないことは意にしなかった。quomark end - 風と光と二十の私と 坂口安吾
  

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 安吾は本作に「魂」という言葉を九回ほど書いていてその箇所が印象にのこります。『私のあこがれは「世を捨てる」という形態の上にあった』という箇所もすごかったです。