失敗園 太宰治

 今日は、太宰治の「失敗園」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 太宰治ほど独自性があって唯一無二の近代作家は居ない、戦時中の日本でこんなに正直な小説を書けて戦後にも読まれた人は他に類をみない、と思うんですけど、その独自性の秘訣を調べようとして見てまわっていると、けっこういろんなものをコピー&ペーストしているんです。著作権の概念がまだ確立していない時代ですし。太宰は複製の名手でもあるんです。「走れメロス」は半分以上がシラーの原典通りに記されていますし、今回のは、ジュール・ルナールの「博物誌」という詩集の中にある幾つかの詩を真似ていて、太宰治自身がそのことを作中にちょっと記しています。
 岸田國士が翻訳したルナールの「博物誌」では、蜜蜂や植物たちが話しつづける不思議な詩がありました。木苺はこういうことを言います。
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  なぜ薔薇には棘があるんだろう。薔薇の花なんて、食べられやしないわquomark end - 失敗園 太宰治
   
 ここから先、小さなささやきを幾重にも積み重ねていっているルナールの詩が展開するんです。林檎の木がおとなりの梨の木に言うことも面白かったです。
 

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