羅生門 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「羅生門」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは有名な近代小説なんですけれども、平安時代の1177年から1180年あたりの天災によって荒れはてた羅生門で生きる老婆と男の話なんです。
 鴨長明の『方丈記』を参考文献として書いたんだろうと、思われます。調べてみると『方丈記』のこの箇所を、芥川龍之介は引用していました。ほかにも『今昔物語集』から引用を行っているそうです。
 この鴨長明たちの古典を掘り下げるかたちで芥川が語る、廃墟となった羅生門に住む老婆と男の物語なんです。
 災害による餓死とぬすびとのことが描かれるんです。
 中盤から現れるおばあさんは、餓死や天災や悪行が押しよせる時代に、権力の力を借りずに長く生きのびてきたわけで、その描写が生々しいと思いました。
 方丈記に鴨長明はこう記します。「寺院の中へこっそりと入って行って仏像を盗んで来たり、御堂の道具をむしり取ったりして、それを薪にして売りに出した」(佐藤春夫訳)そんな餓え死にしかかっているぬすびとも居た。
 本を重ね合わせて読むと、今まで見えてこなかった風景が広がってゆくように思うんです。芥川龍之介はとくにコラージュ技法が秀逸で、中国の伝奇小説をリライトしているのでも有名です。
 こんかい五年ぶりくらいに再読してみて、芥川龍之介が用いる文学の引用とその手法が見えて「誰も知らない」という芥川の言葉が、鴨長明の「知らず、生れ死ぬる人、いづかたより來りて、いづかたへか去る」という文と結びついていて、連歌のように連なっているんだなと、思いました。おそらく空海の「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く……」というのに連なっていって、さらにこれもブッダの言葉にたぶん連なってゆくんだろうと、いうように思われました。「羅生門」といえば黒沢明が、芥川の「藪の中」と本作「羅生門」を融合させて映画を作っています。これとこれが結ばれて、これとこれが連なって、という文学の果てしない山脈がちょっと見えたように思いました。
 

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