予報省告示 海野十三

 今日は、海野十三の「予報省告示」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 海野十三というと、原爆投下当時の日記と、戦後すぐの広島に移住をした親族に関する記載が印象にのこっています。今回のSF小説は、古典SFから現代SFへの変化の先取りをしているような、過剰な文体が魅力の、未来的な戦史が記された、奇妙な小説でした。文体がなんとも新奇で、地球の滅亡した……約2万年後の世界を記してから、時間を少しずつさかのぼって、人類にいったいなにが起きたのかを書き記してゆくのでした。はじまりに遠い未来を記して、中間で6千年後の未来を書き、最後に1947年の日本の実情が記されているのでした。時間のさかまく小説でした……。
 ちょっとほんとにすごいなと思うのは、海野十三は科学的な知識が豊富で、未来についても深い考察をしていて、月面着陸はおそらく「千九百六十年八月八日」に成功するというように書いているんですが、現実には1969年に成功しているわけで、よくこんな未来を戦後すぐに予想できたもんだと思いました。原子力タービンエンジンも第二次大戦が終わった数十年後には実現するはずだと書いていてこれも現実化したわけで、しかも遠い未来にはこの核の利用による被害によって世界の一部が滅びることも海野十三は言い当てているのでした……。本文こうです。「原子エネルギーの活用は幾何級数的に増大される。が、そこに或る種の危機をはらんでいるようである」
 ドイツではハイデガーが原子力エネルギー開発の危険性を1950年代にいち早く考察したんですが、1947年ごろに原子力エネルギーの活用における危険性を明記できた日本人は、海野十三だけなのでは、と思いました。
    

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