自分で困った百姓 小川未明

 今日は、小川未明の「自分で困った百姓」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 童話作家が、働き者の農業者二人の暮らしぶりを描いた作品です。二人は仲よく暮らしていたのですが、なぜか乙さんの芋畑だけが不作になって、悩むことになった。それを知った甲さんが妙な行動に出るところから、不思議な展開になります。
  

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追記   ここからはネタバレかと思うんですが……ちょっとした出来心で悪いことをしてみると、友人の善意がまぶしくなってしまって、恥じいってしまうことになって、恥の意識が失敗を招いてしまうという、妙なオチの短い小説でした。

嘘 新美南吉

 今日は、新美南吉の「嘘」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは現実を活写したような筆致の、小学校が舞台の童話なんですが、なんだか不思議な事態が描かれていて、夢で良く見るのはこういう話しだなと思いながら読みすすめました。転校生がやって来て、この少年と交流するという既視感のある始まりかたで、はじめは温和な子どもの物語かと思っていたんですが、この転校生の「太郎左衛門」という江戸の家臣みたいな名前の謎の少年の家を主人公の「久助君」が訪れたあたりから、ずいぶんくらい、暗黒童話になっていって、妙に引きつけられました。江戸や中世文化の不気味さが眼前に迫ってくる感じです。いっけん深い闇のように見えて、それがどうも奥行きの無い張りぼてのような存在である。太郎左衛門はいっけん不思議なことを言うんですが、実体はどうもつまらない嘘が混じっているんです。
 太郎左衛門のことをよく見ていると、片方は美しい表情で、片方は陰険な表情になっている。二人の人間が左右バラバラに合体したような顔つきになっている。ふつうとちがう少年なのではないか、とか思う。後半は、これはまさに新美南吉の作品だ、と思う童話らしい展開でした。
  

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追記  ここからはネタバレなので、近日中に読み終える予定のかたは、ご注意ください。後半で、太郎左衛門は多くの級友を連れて、遠くまで鯨を見にいこうと誘うのですが、この鯨が出たというのが嘘だった。みんな知らないところで迷子になってしまって、夜も更けてきて泣いてしまった。真夜中に惑っていると、下手をすると大怪我をしてしまうかもしれない。ここで嘘で塗り固められたペテン師のような太郎左衛門くんはまた、ありえないようなことを言うんです。みんな暗闇の中で、この太郎左衛門の言うことを聞くしかなかった。最後の最後では、じつは太郎左衛門くんは嘘を言わずに、みんなが助かるように、親戚の家に立ち寄って電車で帰ることができたのでした。危なくなってきたら、嘘でだましたりはせずに、真面目なことを言って、みんな助かった、というオチで、終わってみれば牧歌的な童話なのでした。
 

シグナルとシグナレス 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「シグナルとシグナレス」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは宮沢賢治の童話で、花巻鉄道の信号機であるシグナルとシグナレスの物語です。
 

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追記  2人の会話がすてきで、終盤では、霧で世界がおおわれて、お互いの顔が見えなくなります。2人は夜明けを待ち、再び出逢えるように、祈りをささげるのでした。この一文が印象に残りました。「星はしずかにめぐって行きました。そこであの赤眼あかめのさそりが、せわしくまたたいて東から出て来、そしてサンタマリヤのお月さまが慈愛じあいにみちたとうと黄金きんのまなざしに、じっと二人を見ながら、西のまっくろの山におはいりになった時、シグナル、シグナレスの二人は、祈りにつかれてもうねむっていました。」さいごは二人の願いが叶って二人きりの美しい世界に至るんですが、それはどうも、地球ではなくって美しい銀河の中で、お互いに見つめあっているのでした。ふと気がつくと夢が覚めて「二人はまたほっと小さな息いきをしました。」という言葉で締めくくられる、清らかな童話でした。

もりのおひめさま ジビュレ・フォン・オルファース

 今日は、ジビュレ・フォン オルファースの「もりのおひめさま」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ジビュレ・フォン オルファースはドイツでは有名な絵本作家です。「もりのおひめさま」は童話というよりも、絵が中心の絵本です。お姫さまと、森の小さな生きものたちの1日を描いた物語です。朝に始まって夜に終わる、牧歌的な絵本でした。
 

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カラー アンデルセン

 今日は、アンデルセンの「カラー」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 collarカラーというのはワイシャツのえり、のことで、今回はこのワイシャツの「カラー芯」とか「カラーキーパー」とかいわれる、シャツのエリにはめ込む小さな板のことを、カラーと記しています。カラーがいろいろ話し込む、なんだか可愛らしいお話しなんです。
 

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 最後がちょっともの悲しいんです。アンデルセンは、百数十年も愛読された作家なんですが、個人的な恋愛はもの悲しいものが多かったらしいです。

ねずみの冒険 小川未明

 今日は、小川未明の「ねずみの冒険」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ネズミ取りにひっかかったネズミをどうやって処分しようかということで悩む主人がいるんですが、これがずいぶんものぐさで、めんどうくさがりな男で、猫にやらせようとしたり、いろんな方法を思いつくんですが、ぜんぶ具体的にやるにはだるいのでやってられない。『あまりにも……ものぐさすぎるハンター』というテーマで短編小説を書いたらずいぶん奇妙な物語になるのでは、と思いました。これは童話なので、もっと牧歌的な内容で、後半はネズミを助けたい少年が主人公になったりするのでした。
 

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