津軽の虫の巣 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「津軽の虫の巣」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 1690年ごろ元禄時代の松前矩広が、大船に乗って津軽の海を渡るところから、この歴史小説は始まるんですが、おもに2つの事柄が主題になっていました。ひどい混乱を生んだ生類憐れみの令と、津軽の宝石のことが描かれるんです。
 「津軽の虫の巣」というのは「青紫の円い小珠」の宝石のことで、なぜ虫の巣というのかというと、その宝石には、小虫が入り込めそうな「小さい白い泡沫」がいくつかあって「名も知れぬ小虫が、はて知らぬ蝦夷の海の底深く、珊瑚の根元にでも構えた巣の様に思われる」これが珍宝として松前藩に献上された。矩広と家老の蠣崎が、これを吟味した。
 これがもしほんとうに瑠璃色の虫の巣である場合は、虫の巣を奪い去ったということで、生類憐れみの令に抵触して、松前藩が罰せられるかも知れない。だが、ただの泡沫をはらんだ宝石であるかもしれない。分からないので、火で炙ってこの宝石を浄化しよう、ということを家老が提案した。火で焼いてみると、珍宝はあっけなく砕け……。
 

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追記  生類憐れみの令は、幼子や病者の人権を尊重するという優れたところもあったのに、その運用を誤って死罪や流刑が頻発した、罰則のとりきめがまちがっていたのでは、と思いました。