安吾武者修業 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「安吾武者修業 馬庭念流訪問記」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 塚原卜伝や百地三太夫が活躍する武芸もので有名な「立川文庫」のなかで、安吾が子どものころいちばん好きだった主人公は猿飛佐助だったそうです。安吾はそれで、脇役として登場する馬庭念流の剣術がおもしろかった、と言うんです。
 馬庭念流は古びた村に伝えられる剣術で、農民がこれを会得していて、なまはかな武者は、この流派に生きる農民を倒すことはできない。クワを持って働く、最強の農民がひっそり暮らす村がある、ということで安吾はこう記します。「まさに少年時代の私にとっても愛すべく、また、なつかしい夢の村であった。そして、夢の中でしか在りえない村だと思っていたのだ。」ところが……「実在の地名であるばかりでなく、馬庭念流が今も尚レンメンと伝えられ、家元樋口家も、その道場も、そして剣を使う農民たちも、昔と同じように今もそうであることを知って茫然としたのである。」
 調べてみるとwikipediaにも載っていました。おおむねユーモラスな視点で描きだされる、剣術の変貌の近現代史をじっさいに調べていった安吾の随筆なんですけれども、残心、のあたりの記載がなんだかかっこよかったです。「念流虎の巻」における「ソワカ」で終わる呪文の数々の紹介が奇妙でした。
 

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