こほろぎの死 村山籌子

 今日は、村山籌子の「こほろぎの死」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは小学生のための童話で、動物たちしか居ない世界の、なんとも奇妙な病院が描きだされます。ほんとうは怖い近代の童話、という感じの作品でした。
 

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追記  百年前の電化製品を使ってみたいですか? と言われたら、使いたいと思わない……というのと同じように百年前の病院は使いたくないし、千年くらい未来の電化製品やあるいは病院は、ちょっと使ってみたいなと、いうように思う、近代作品でした。

女 久坂葉子

 今日は、久坂葉子の「女」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはサスペンス調の掌編小説で、アナンという女が、五通の手紙を持って、謎めいた行動をして帰ってくる場面が描かれます。「女」は自らの子を失っていたという過去があります。終盤に「女」がなにを行っていたかの種明かしがされる、なんだか昭和初期のモノクロ映画の脚本みたような、劇的で暗い作風が印象に残る小説でした。
 

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掃除当番 槇本楠郎

 今日は、槇本楠郎の「掃除当番」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは小学生が読む児童小説で、大人はまったく読めない作品だと思うんですが、読んでみると小学校での掃除の時間の奇妙なたたかいと、その解決策の提案のことが記されていました。
 本書は1919年1月に創刊されて1941年9月に終刊となった『教育論叢』という雑誌に掲載された作品です。百年前は掃除をするときに、道具が不足していて、その掃除道具を巡って、いさかいが起きてしまうというところが描かれていました。ところで現代では、世界の学校の55%以上が、生徒ではなく専門の清掃スタッフに掃除を委ねる方針なんだそうです。
 

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追記  これはもう近代文明を知りたい人以外には、まったくお勧めできない、妙な本だなと思いました。
 

鏡の中の月 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「鏡の中の月」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 二十七歳の学校教師である瀧子のところへ、山口仁一がやってきて「直接お会いして気持を分って頂く方がいいと思ったもんですから」と言いつつ、縁談についての直談判をしてくるところから物語が始まります……。
 

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(追記  この奇妙に急ぎ足な縁談について調べてみると、元の妻であった女が、山口仁一と再婚した女はすべからく狭谷町から追い出してやると言っているという噂もあり、独身の瀧子は、あまりにもこっけいで「ばからし」く思ってしまう。ほかにもどうも山口仁一は「召集されるかもしれない」から、そのまえに、子どもたちのめんどうを見てくれる女を慌ててさがしているはずだということも分かってしまう。「山口が有力者の端くれだもんだから本当に始末がわるい」と述べて、さらに「学校やめさせるような卑劣なことをやる」可能性さえある。
「あちこちで召集が下るようになってから、村役場で婚姻届の受付が殖えた」という事実もある。
 瀧子は山口に直接「嫌だ」という旨を伝えて「どうぞ、この話はお打切りになって下さい」ということで話はすべて立ち消えとなるんですが、男のほうではまだなんとか関係を作れないかと、無駄に話しつづけてしまう。
 これが瀧子にとっては「愚劣な告白」と感じられることが、どうも理解できない。
 けっきょく山口仁一は出征することになった。終盤では、瀧子は明確に山口仁一を避けて駅から離れるのですが……そこでほかの家族の父親が出征してゆくとき「真蒼な顔をして笑っていた」奥さんが居たのを思いだして、相思相愛の夫婦が戦争で離ればなれとなる事態に「鳥肌立つ気がした」瀧子なのでした。最後の一文では「そのような人々の切ない混りけない今の気持にのって山口のように生きようとしている男もあるのである。瀧子は深い心痛む思いにとらわれながら、二つ先の駅まで揺られて行った。」と記されている、暗い小説でした。)

M侯爵と写真師 菊池寛

 今日は、菊池寛の「M侯爵と写真師」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはM侯爵と「写真師の杉浦」の、この二者の不気味な関わりを描きだした短編小説で、とくになにも起こらないまま終わる短い作品でした。
  

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追記  ハリウッドの脚本家の能力を越えかねないという噂のAIが、この小説の続きを書いたら、いったいどういう展開になるんだろうかと思いました。「怖いもの見たさ」で怪奇映画を見ることがあると思うんですが、これは「嫌なもの見たさ」とでもいう心理でこの大衆小説が消費された時代があったのでは、と思いました。

雲の小径 久生十蘭

 今日は、久生十蘭の「雲の小径」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは飛行機に乗る男を描きだすところからはじまる小説で……「この三年、白川幸次郎は、月に三回、旅客機で東京と大阪をいそがしく往復している」
 ある日、白川のところに病院から電話がかかってきて、長らく親交があった「妻の香世子」のことで妙なことを言われるんです。白川は「私には家内なんかありません」と事実を答えるのですが、とにかく病院で手続きをすることとなった。その体験があって、白川は霊との交信に深い興味を持つようになってしまった。作中に記載されているように「西洋の降霊術」を参照して書かれた作品なのでした。
 

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追記   あまりにもリアルな幻視体験のために、ある男がこの「霊の友会」の悪影響を受け、霊にひっぱられるかたちで、事件が起きてしまった。「霊の友会」はこの事件によって解散となった。それから白川は飛行機で東京と大阪を行き来するようになった。ある日、香世子と仲の悪かった柚子と偶然にも飛行機内で出会ってしまう。このあと、事件の真相究明編が、柚子によって解き明かされてゆくのでした。柚子はとつぜん姿が変貌して香世子になる、という幻視の描写がありました。白川はやっともともとの霊媒を見つけ出して、香世子の霊と話し込むのでした。香世子は死後もまだ犠牲者を求めていた。「おれは死にたくないのだ、助けてくれと叫んだところで、ふっと現実にたちかえった。」で終わる、読後感の悪い小説でした。