漁師 フィオナ・マクラウド

 今日は、フィオナ・マクラウドの「漁師」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 山あいにある「青々した草原」を通り「楊の谷」の「河ふち」に至ると、そこには、なぜか悲しげな眼をした「猟師」がいて、おばあさんと出会い、すぐに去ってゆきます。作中で、この地について、印象深い記載があります。
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 山々のかげのくらい沢水に寂しく潜んでる鮭は深い海の音をききつけて、塩のこいしさに舌をあえがし、鰭ひれをふるわし、時が来て海が呼んでるのを悟る……quomark end - 漁師 フィオナ・マクラウド
 
 おばあさんは、この地で、不思議なものをみたと、息子のアラスデルに語るのでした。ケルト神話と太古の世界を描きだす、静謐な短編小説でした。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  以降、ネタバレとなりますので、数日以内に読み終える予定の方は本文を先に読むことを推奨します。天寿をまっとうするときに魂をもらい受けに来る、天界への案内人のような「漁師」というのが描かれた物語で、おばあさんはこの、悲しげな眼をした、たましいの猟師と偶然のように出会うのでした。そのすぐあとに、自宅の炉ばたの椅子に座ったまま、おばあさんは痛みもなく身罷ります。これを見届けた息子のアラスデルのもとへ、「猟師」がやってきてこう告げるのでした。
「別れに言う、平和におくらしなさい、善良なたましいよ、平和におくらしなさい……」

 

再生の日の海を眺めて 松本淳三

 今日は、松本淳三の「再生の日の海を眺めて」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ちょっとこれは唸るような近代詩で、アジテートするような大げさな身ぶりの表現が、現代では通用しがたいのかもしれないのですが。言論の自由がほんとうに無かった、危険な犯罪の言説を述べているわけではないのに投獄されてしまう1900年から1945年までの時代に、こういうことを書いたのか、という、なんだか衝撃的な詩作品でした。自由が無いから自由と書くんだというのを思い知るような詩でした。幸徳秋水の時代のことを書いたのかもしれないですし、もう少しのちの時代の文人のことを書き記したのかもしれません。
 

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細雪(79)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その79を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 お見合いが終わって、そのあともう一度逢う予定が組まれて、お互いの状況がちょっと描かれます。今までとはかなり異なっていて、これは……ついに婚約相手が決まったのではというように思える展開でした。
 雪子の相手の寺橋は「亡くなった細君」と「わすれ形見であるところの娘」の想いを尊重していて、急ぎ足の再婚ではちょっと困るとはいえ、良い相手をさがし求めているところなのでした。
 お互いに遠慮がちに交流が始まるのですが、どうも問題がなさそうに思えます。さらに戦中に中座しかけてから戦後になって書き継がれた箇所ですし、地味ではあっても戦後らしい、安定感のある家庭が生じそうな印象に思いました。作中では戦中そのものの時代なんですが……本章が書かれたのは終わったあとというねじれた構造なんです。これが大長編のひとつの結末なのか、それともなにか違う展開になるのか、次章から明らかになってゆくかと思います。
 

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(総ページ数/約20頁 ロード時間/約3秒)
当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 

おさん 太宰治

 今日は、太宰治の「おさん」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは戦中戦後に生きることの困難さを書いた物語なのかなと思って読みすすめていったのですが、それは最初の数頁だけで、妻子のいる男が、ひそかな恋にのめり込んでゆくところを仔細に記した小説でした。
 太宰治はじっさいに多くの異性と深く関わりをもった人なので、今回の作中に書いてあることの要点は、当人の事実のことを中心に書いているように思います。フランス革命と、背徳の情愛のことを2つ対比して描いてるところが印象に残りました。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
  
追記 GHQや新しい世相との兼ね合いもあるのかもしれないですが、戦争が終わってもう自由に書けるということになった時代に、フランス革命直後に生きるパリの作家であるかのように、作者の心境が大きく変化していった、という感覚が描かれているのかなあと思いました。実直さと自由の2つの意識が、戦後になってぶつかっていって、こういう物語になったのだろうかというように思いながら読みました。
 

秋の瞳(30)八木重吉

 今日は、八木重吉の「秋の瞳」その30を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回はなんだか暗黒神話が白昼の晴天に現れたような、奇妙な描写が印象にのこる詩でした。
 

0000 - 秋の瞳(30)八木重吉

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(総ページ数/約3頁 ロード時間/約3秒)
 
 

よだかの星 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「よだかの星」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 農学校で子どもたちに科学と農を教えていた宮沢賢治の描きだす、まだらもようの鳥の物語でした。
 よたかは、いま普通に暮らしていると見ることのできない鳥なんですが、現代ではその写真の資料をあまたに見ることができて、古木や枯葉の中にまぎれるとまるで見えなくなる、保護色の鳥で、かたちもなんだか妙なのでした。よだかを通して描かれる死生観は、病床の宮沢トシや賢治自身を描きだした詩世界と響きあっているように思いました。
 賢治の名作と言えば、「どんぐりと山猫」それから「風の又三郎」がお薦めです。
 

0000 - よだかの星 宮沢賢治

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)