今日は、野上豊一郎の「闘牛」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは能と英文学を研究した学者の野上豊一郎が、スペインの闘牛を見学したようすを克明に記した、1938年ごろの随筆です。百年前は残酷で野蛮な催しがあって、今ではとうてい行われないのだろうと思って調べてみたら、今回記されていたものとほぼ変わらない内容で、去年も今年も闘牛が行われている、ということがスペインの記事で分かりました。日本や先進国のいくつかでは動物の死闘の闘技は禁止されていますし、テレビ局やYouTubeでは該当場面は省略されています。1928年以前では、より残酷なことが闘技場で行われていて、騎馬が一撃で斃されることがままあり、それが少しずつ改善されて、死闘の末に牛が致命傷を与えることは、ほとんどまったく無くなったという記載があって、なんだか妙なことに思いました。
風土や文化は肯定しつつ、不本意な事態は減らしてゆくという積み重ねがあって、今も闘牛があるんだなあと思いました。「雨はひどく降って来た。」という一文から先の描写が秀逸で、なんだか重厚な記録文学の描写に思いました。すごい随筆作品でした。
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追記 調べてみると現代でも、スペインの闘牛の祭りは大人気で、事故が多くて危険な祭典なんだそうです。


