論語物語(3) 下村湖人

 今日は、下村湖人の「論語物語」その3を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は「伯牛はくぎゅうやまいあり」というエピソードです。
 今回の物語に登場する、病身の伯牛は一人で黙考しているうちに「戦慄と、萎縮と、猜疑と、呪詛と」に嘖まれるんです。弛まずに学び続けた中国の偉人であっても、親友や師を逆恨みしてしまったりする。それには原因があって、せっかく学んだのに難病に冒されて心も病みつつあるからなんですけれども……。
 孔子は困っている弟子のことを、いったいどう考えるんだろうかと思いながら読みすすめました。
 孔子はなぜか、かつて共に苦労した話しを、伯牛に伝えるんです。
 じっさいの孔子の考えは、以下の本文から読んでみてください。
 

0000 - 論語物語(3) 下村湖人

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月夜と眼鏡 小川未明

 今日は、小川未明の「月夜と眼鏡」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは子どものための童話ですけれど、大人でも楽しめる短編小説なんです。カズオイシグロの文学に登場する、記憶や世界認識に独自性をもつ人物像がぼくにはとても新鮮に感じられたのですが、今回の小川未明の描くおばあさんは、カズオイシグロが書こうとする人間と共通しているところがある……と思いました。小川未明の世界はもっと童話らしくて神秘的なんです。
quomark03 - 月夜と眼鏡 小川未明
 花園には、いろいろの花が、いまを盛りと咲いていました。昼間は、そこに、ちょうや、みつばちが集まっていて、にぎやかでありましたけれど、いまは、葉蔭で楽しい夢を見ながら休んでいるとみえて、まったく静かでした。quomark end - 月夜と眼鏡 小川未明
 

0000 - 月夜と眼鏡 小川未明

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長崎留学 中谷宇吉郎

 今日は、中谷宇吉郎の「長崎留学」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくは、武家社会と維新のことについてうといんですけど、いつか知ってみたいと思っていて、ちょうどこの蘭学と維新の随筆を見つけて読んでみました。「覗かせてくれるという一番大切な点」という中谷宇吉郎の指摘が、ものすごく印象に残りました。たとえば映画を見ていて観客の自分たちは、ギャングやマフィアに感情移入して、その生き方を垣間見るんですけど……ほんのちょっとだけ、カケラだけでも理解してみるというのがなんだか、重大なような気がするんです。
 蘭学者は西洋の医学と文化を、つたない言語能力で垣間見た。このちょっとだけ『覗けるようになっている状況』というのがじつは、未知との遭遇としての価値があるように思いました。
 まだすこししか理解できていない、自分たちの不能が目に見えている、という条件のほうがかえって学びが深まる可能性が高い、ように思いました。
 

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晶子詩篇全集拾遺(32)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(32)を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 与謝野晶子の詩を読むと、ふだん目にしている文章とちがって、言葉が美しく構成されていることにいつも驚きます。言葉だけで立体的な情景を描き出していて、画家にとってはこういった文学が、モチーフの宝庫なのだろう……と思いました。
 むつかしい言葉を調べてみました。
 悒欝

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おりき 三好十郎

 今日は、三好十郎の「おりき」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 三好十郎は戦後にも読まれ続けた詩人であり劇作家なんですけれども、今回の本を読んでいると、あきらかに日本のファシズムを肯定的に描いている……のです。前半は、農村にまだ機械文明が上手く入りこんでおらず、貧困と労苦が絶えない状態が描かれています。後半はもう戦争への参加一色の物語になっていて、読んでいてこういう本は、まったくおすすめできない近代文学だ、と思いました。資料として読むのならまあ問題は無いと思うんですけど。ぼくはwikipediaの「ファシズムの定義」の頁と同時に読んでみました。ただ、じっさいの作中の当事者は、戦後の蔑称となった「ファシスト」とはまったく異なる、やむべからざる事態によって戦争に参加するしか無くなる状況が描かれていて……要するに強制的な徴兵なんですが、これに誰も疑問を感じず賛同しているところが戦後には見受けられない表現なんです。貧しい青年がこの日本のファシズムから逃れて自由になる具体的な方法は、当時は無かった、というのが読後の感想です。金持ちの家系なら、海外留学させたら徴兵されなかったらしく、じつは漱石も兵役逃れをやっていたわけなんですけど、それらはごく限られた知識人だけが出来た裏技であって、大多数の人は徴兵から逃れるのはほとんど無理だった。
 三好十郎はファシズム思想を持っていたかというと、この本で読んだ範囲では「ロマンチックで神秘的な側面を詰め込んだ、集会やシンボルなどの美学の構造」と「帝国を目指す」それから「新しいナショナリストの権威主義的な国家の作成に賛同している」の3箇所には当てはまる部分が色濃かったのですが、もっとも重大な「暴力主義」や「男尊女卑」や「理想主義的変革」や「カリスマ的命令形態」というのはいっさい存在していませんでした。
 与謝野晶子や夏目漱石がどのようにファシズムと対峙したのか、あるいはファシズムにどの箇所で加担していたのか、それを本を読みながら調べてゆくのは興味深い謎解きで、百年前の賢い人びとが危機に対してどういうふうに考えていたのかを、歴史上の事実と答え合わせしながら読んでゆくと、今の自分たちが分からないままやっていることが、のちのちどういうように展開してゆくのか、想像しやすくなると思うんです。ちょっと古い時代の変化を追うことで、文明の変化が自分たちをどのように変えてゆくのか、どこを警戒すべきかが、少しは見えてくるのではないかと思いながら、この大戦中の物語を読み終えてみました。
 

0000 - おりき 三好十郎

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