職業の苦痛 若杉鳥子

 今日は、若杉鳥子の「職業の苦痛」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 幼いころの夢は弁護士で、現実には「女新聞記者」になった若杉鳥子の随筆なんです。まだ時間の進行が遅い百年前の時代だったので新聞記者になっても「毎日じっとしているので、苦痛で」しかたがなかった。美術家の「岡田八千代女史」を取材してこいという仕事をもらって、この取材に行ったはなしを書いています。いろんな人に取材をした時のことを書き綴っています。十五円の月給と生活費のことを正確に記しているのでした。一人で自立して生きられるようになった、始まりの時代の随筆でした。
   

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細雪(47)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その47を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 東京にきている幸子あてに奥畑からの手紙がとどきます。妙子こいさんは大水のあった日にどうも、板倉と密かに会っていたから、災害時にも2人は一緒だったのではということを主張している手紙なのでした。
「僕とこいさんとの結婚問題についてもお願いしたいことがいろいろあるのですが、それは他日に譲るとして、今は板倉と云うものをこいさんから遠ざけることが先決問題です」
 妙にださい感じの告発の手紙なのでした……。雪子は誰とお見合い結婚するのか、四女の妙子こいさんはどんな結婚をするのか、というこの2つが「細雪」全体で主題となっていることがらで、妙子のほうでは、板倉か奥畑かどちらかと結婚をするように思われます。幸子としては、妙子と板倉を結婚させるつもりはまったく無いようです。妙子と奥畑となら認める準備は出来ているところなのでした。本文こうです。
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 「彼は姉上のお留守中も毎日お宅にお邪魔しているようです」とあった文句が、分けても彼女を狼狽させたquomark end - 細雪(47)谷崎潤一郎
 
 東京での雪子の暮らしをしっかり観察して、雪子に良いお見合いをさせてやろうと思っていた幸子なんですが、関西に残してきた妙子が、みんなが留守である隙に、板倉と2人でどうも楽しんでいるらしい。これで幸子はついに関西へと帰る決意をしたのでした。
  

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 

雲の小径 久生十蘭

 今日は、久生十蘭の「雲の小径」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは飛行機に乗る男を描きだすところからはじまる小説で……「この三年、白川幸次郎は、月に三回、旅客機で東京と大阪をいそがしく往復している」
 ある日、白川のところに病院から電話がかかってきて、長らく親交があった「妻の香世子」のことで妙なことを言われるんです。白川は「私には家内なんかありません」と事実を答えるのですが、とにかく病院で手続きをすることとなった。その体験があって、白川は霊との交信に深い興味を持つようになってしまった。作中に記載されているように「西洋の降霊術」を参照して書かれた作品なのでした。
 

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追記   あまりにもリアルな幻視体験のために、ある男がこの「霊の友会」の悪影響を受け、霊にひっぱられるかたちで、事件が起きてしまった。「霊の友会」はこの事件によって解散となった。それから白川は飛行機で東京と大阪を行き来するようになった。ある日、香世子と仲の悪かった柚子と偶然にも飛行機内で出会ってしまう。このあと、事件の真相究明編が、柚子によって解き明かされてゆくのでした。柚子はとつぜん姿が変貌して香世子になる、という幻視の描写がありました。白川はやっともともとの霊媒を見つけ出して、香世子の霊と話し込むのでした。香世子は死後もまだ犠牲者を求めていた。「おれは死にたくないのだ、助けてくれと叫んだところで、ふっと現実にたちかえった。」で終わる、読後感の悪い小説でした。

傍人の言 豊島与志雄

 今日は、豊島与志雄の「傍人の言」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 翻訳の仕事が多い小説家の豊島与志雄が、近代の文士の事情を記しています。作中では、豊島与志雄の主張と「傍人」の主張の2つが記されてゆきます。豊島与志雄の友人は、近代の作家がお互いに会うと、妙な緊張が走っていて、それを見ていると、妙に思えてくる。
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  ほんとに打ち解けた朗かさがなくて、わきから見てると、お互に緊張しあってる……(略)個人的に逢えば、誰もみな好人物だし、酒をのめば、しめくくりのないだらしなさをさらけだすんじゃないか。それが、公の席上で顔を合わせると、好人物同士が、だらしのない者同士が、お互に緊張しあってるんだから、僕たちから見ると、おかしいんだ。quomark end - 傍人の言 豊島与志雄
  

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 徳永直のことも記していました。豊島与志雄の考えとしては、凡俗なことがらを魅力的に書けるかどうか、が重要になる。「書き方の如何によるのだ、と私は云う」と終盤に述べられていました。

ゲーテ詩集(70)

 今日は「ゲーテ詩集」その70を配信します。縦書き表示で読めますよ。 
 ゼウスと対立するプロメテウスの、英雄的な思惟を記した、ゲーテの描くギリシャ神話の詩物語でした。ギリシャの古典を書き直してゆくという、ゲーテの代表的な詩のひとつに思います。
    

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可哀想な彼女 久保田万太郎

 今日は、久保田万太郎の「可哀想な彼女」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 久保田万太郎は谷崎潤一郎や芥川龍之介や島崎藤村と親交が深かった作家だそうです。wikipediaには敗戦の年に「空襲で被災し、家財・蔵書のほとんどすべてを失った」と記されていました。今回の随筆ではおもに、家族の不幸と、震災後の生きかたと、文士の生計について書いています。
 戦後すぐの活動がwikiに記されていて、今回の随筆で考えて言語化していたことがじっさいに活きて、静かで平和な晩年を過ごしたんだなと思って読みました。百年前の時代ではあきらかに長寿の作家なのだと思います。おもに教育者として生計を立てた作家だったようです。
  

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