ゆふべみた夢 富永太郎

 今日は、富永太郎の「ゆふべみた夢」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 美しい情景の記載からはじまるこの抒情詩は、中盤から友人との奇妙な再会を喜ぶ、夢らしい夢の場面が描かれ、そこから友人Nの不吉な崩壊が、詩の言葉で描きだされてゆきます。「ぼんやりそこに立つたまま、よごれた彼の顔を眺めてゐた。」という終盤の一文が印象深い掌編でした。
  

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いのちの初夜 北条民雄

 今日は、北条民雄の「いのちの初夜」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 子どものころに感動した本を、大人になってから再読するのは緊張するんですが、本作は読みやすい文体で構成された、児童文学としても愛読されうる作品に思いました。
 病者仲間の手にしている義眼の描写がみごとで魅入られました。北条民雄にとっての文学は、この義眼や松葉杖のような存在だったのでは、と思いました。序盤で自死と生と木々のことについて書くのですが、これは聖書の死生観の影響も色濃いのでは、と思ったのですが、作者の北条民雄はヨブ記を愛読していて、この物語との共通項があるように思いました。中盤から後半にかけて苦悶の描写が展開されて凄絶な心情が記されてゆき、そこから闘病記に閉塞せずに、いのちの詩と生命論に進んでゆくのがもの凄い作品に思いました。病の体験と、聖書のヨブの文学性が混交したような独特な文学でした。これは発表当時から文学界でも広く読まれた作品なんです。若いころに病で苦しんだ現実の記憶と、この本に描かれた文学上の記憶が、心中で入り混じってゆくという読書体験をした、1936年ごろの読者は多かったのでは、と思いました。 「いのちの初夜」という言葉は、師の川端康成に添削してもらってつけた題名なんだそうです。
  

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ゲーテ詩集(65)

 今日は「ゲーテ詩集」その65を配信します。縦書き表示で読めますよ。
  ゲーテの詩集は、同時代のナポレオンさえ愛読したわけで、勇ましさや雄雄しさというものが文学に溶け込んでいると思うんですが、今回は動物愛護に彩られた、海の精霊の詩なのでした。それからもうひとつの詩「トゥーレの王」の金の杯の描写が静謐でした。
 

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追記  ヴィーガンが記した詩なのかと思うほど生命愛に彩られた詩で、波多野一郎の「イカの哲学」というのを連想しました。

人生三つの愉しみ 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「人生三つの愉しみ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 大酒飲みの坂口安吾が、禁酒と酩酊について書いた随筆なんです。けっきょく禁酒できるかどうかは、本人が酒を減らす意識があるかどうかだけが重要なんだそうです。ぼくは禁煙だけは実現したことがあるんですが、禁煙中にガムを食べすぎて奥歯が虫歯になって壊れて、それから甘いものと煙草が嫌いになって痩せすぎた、という経験があります。
 医者の本を読むと、酒に強い人が禁酒してもあんまり意味が無い、酒を飲めない人が上司から無理やり飲まされるのだけは辞めたほうが良い、みたいなことが書いてありました。
 ローマ帝国の風呂は、快楽と共にあった、帝国の滅びと共に、ヨーロッパの大風呂は減退していった、という話しがおもしろかったです。楽しい酒なら辞めなくていい、楽しくない行為だけは減らしたら良い、というようなことも書いていて、坂口安吾の説く幸福論としても読める本でした。
  

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黄金鳥 鈴木三重吉

 今日は、黄金鳥の「鈴木三重吉」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは子ども向けの冒険譚なんです。西洋の騎士道物語と、古事記の世界を混ぜたような童話でした。
 大国主の神話にある、根の国のスサノオの家での蛇の試練にも似た、主人公ウイリイ少年の冒険物語なのでした。
 野蛮な王の命令に従って、謎の王女を探しにゆく旅をするウイリイなんですが……。鳥から王女に変身する、馬から王子に変身する、という変身譚の神話的な童話でした。
 

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細雪(41)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その41を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 舞の師匠を見舞う妙子の描写がありました。おさく師匠の訃を聞いた妙子の、心情と行動が記されてゆきました。本文こうです。
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 葬儀も残暑の厳しい日に、阿倍野でほんの小人数で営まれたが、その人達が殆どそっくり居残って隣の火葬場へ送って行き、お骨が焼けるのを待っている間に故人をしのぶいろいろの話が出た。quomark end - 細雪(41)谷崎潤一郎 
 
 この前後の描写が静謐で、これが第二次大戦が終結した敗戦後すぐの二十世紀中盤に「陰翳礼賛」とともに世界中で読まれた日本文学なんだというように思いました。次回に続きます。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
 
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)