細雪(76)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その76を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 一年ほど前に日本から英国に渡ったロシア人カタリナが、お金持ちの英国人社長と結婚をしたという報告が届きます。
 カタリナはかつて上海で、英国人の夫と、じつの子どもの3人で暮らしていたのですが、なにかの事情で離婚して、いったん日本で暮らし、それからふたたび一人だけで英国に移り住んで新しい男を探していたところだったのです。
 細雪の前半部分にはこう書いています。
「カタリナに云わせると、自分は露西亜に生れたのだが、国を追われて、上海に来て、英吉利人の恩恵を受けて成人したのである。英吉利の学校は私に学問を教えてくれた、しかも月謝など一文も取りはしなかった、私は学校を出て看護婦になり、病院で月給をもらうようになったが、それもこれも皆英吉利のお蔭である」
 カタリナは英語も流暢で国際的な女性なので、英国に渡って、再び幸福を掴んだということのようです。
 ただカタリナは英国では、地縁や縁故というのが無いのに、そのような良い相手をよく見つけられたものだと、幸子は驚くのでした。
 幸子は近代の日本式の縁談で、なんとか妹の雪子にいい人を見つけてきたいと思っているのですが、これがどうも失敗続きで困っているところなのです。大姉の鶴子はこう囁いていました。
「あたしの今の気持では雪子ちゃんを貰ってくれる人さえあれば誰でもよい。又離縁になるにしても一遍は縁づけたい」鶴子は溜息をつくのでした。
 幸子はこのとき「そッと眼の縁の涙を拭った」というように本文に記されて、ありました。あと二十数回で完結します。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)