草の中 横光利一

 今日は、横光利一の「草の中」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 横光利一の純文学を読んでみました。原稿用紙換算でほんの8頁の掌編ですが、3つの不在について記された静謐な文学作品でした。
 僧侶がおらず、誰も住んでいない寺を借りた男の物語で、幼い病者と孤独なKのことが記されてゆきます。杜甫の『春望』を想起させる短編でした。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

小さな妹をつれて 小川未明

 今日は、小川未明の「小さな妹をつれて」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは小学校1・2年のための童話です。二郎ちゃんと勇ちゃんはいつものように川で釣りをして遊ぶのですが、その日は、まだ赤ん坊といっても良いくらいの「みい子ちゃん」を連れているので、釣りもあんまりできずに、泣く子をあやすことになって、歩くのもなんだか疲れてしまって、帰ることさえできなくなったのでした。2人を励まそうとして、二郎ちゃんは、あることを思いつくのでした。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  これはもう大人は読者対象になっていない本だと思って読みすすめたんですが、昔は家での仕事がとにかく多すぎたので、幼い子どもが赤ん坊の面倒をみることもよくあることだったと感じる内容でした。まだ小学生くらいの子どもでは何もできないんだろうと思って、幼い3人の物語を眺めていたら、急に主人公の「二郎ちゃん」が思いついて、母から渡されていたお金を使い込んでしまいます。これは両親から怒られるのだろう、と思ったら、疲れてしまった友だちを、助けるためにキャラメルを買ったのは、良い行いだ、といって親がほめるのでした。読者の自分が、幼子のはずの少年に追い抜かれてしまった、というように思うエピソードでした。
 

秋の瞳(31)八木重吉

 今日は、八木重吉の「秋の瞳」その31を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 きりぎしというのは、切り岸と書いて切りたった険しい岸のことです。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  重力やデッサンから解き放たれた抽象画があるように、八木重吉の詩は、序次を持たずに思惟を描きだすのがひとつの特徴なのではと思いました。
 

漁師 フィオナ・マクラウド

 今日は、フィオナ・マクラウドの「漁師」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 山あいにある「青々した草原」を通り「楊の谷」の「河ふち」に至ると、そこには、なぜか悲しげな眼をした「猟師」がいて、おばあさんと出会い、すぐに去ってゆきます。作中で、この地について、印象深い記載があります。
quomark03 - 漁師 フィオナ・マクラウド
 山々のかげのくらい沢水に寂しく潜んでる鮭は深い海の音をききつけて、塩のこいしさに舌をあえがし、鰭ひれをふるわし、時が来て海が呼んでるのを悟る……quomark end - 漁師 フィオナ・マクラウド
 
 おばあさんは、この地で、不思議なものをみたと、息子のアラスデルに語るのでした。ケルト神話と太古の世界を描きだす、静謐な短編小説でした。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  以降、ネタバレとなりますので、数日以内に読み終える予定の方は本文を先に読むことを推奨します。天寿をまっとうするときに魂をもらい受けに来る、天界への案内人のような「漁師」というのが描かれた物語で、おばあさんはこの、悲しげな眼をした、たましいの猟師と偶然のように出会うのでした。そのすぐあとに、自宅の炉ばたの椅子に座ったまま、おばあさんは痛みもなく身罷ります。これを見届けた息子のアラスデルのもとへ、「猟師」がやってきてこう告げるのでした。
「別れに言う、平和におくらしなさい、善良なたましいよ、平和におくらしなさい……」

 

再生の日の海を眺めて 松本淳三

 今日は、松本淳三の「再生の日の海を眺めて」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ちょっとこれは唸るような近代詩で、アジテートするような大げさな身ぶりの表現が、現代では通用しがたいのかもしれないのですが。言論の自由がほんとうに無かった、危険な犯罪の言説を述べているわけではないのに投獄されてしまう1900年から1945年までの時代に、こういうことを書いたのか、という、なんだか衝撃的な詩作品でした。自由が無いから自由と書くんだというのを思い知るような詩でした。幸徳秋水の時代のことを書いたのかもしれないですし、もう少しのちの時代の文人のことを書き記したのかもしれません。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
(装画のAI使用率は約10%)
 

細雪(79)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その79を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 お見合いが終わって、そのあともう一度逢う予定が組まれて、お互いの状況がちょっと描かれます。今までとはかなり異なっていて、これは……ついに婚約相手が決まったのではというように思える展開でした。
 雪子の相手の寺橋は「亡くなった細君」と「わすれ形見であるところの娘」の想いを尊重していて、急ぎ足の再婚ではちょっと困るとはいえ、良い相手をさがし求めているところなのでした。
 お互いに遠慮がちに交流が始まるのですが、どうも問題がなさそうに思えます。さらに戦中に中座しかけてから戦後になって書き継がれた箇所ですし、地味ではあっても戦後らしい、安定感のある家庭が生じそうな印象に思いました。作中では戦中そのものの時代なんですが……本章が書かれたのは終わったあとというねじれた構造なんです。これが大長編のひとつの結末なのか、それともなにか違う展開になるのか、次章から明らかになってゆくかと思います。
 

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(総ページ数/約20頁 ロード時間/約3秒)
当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)