今日は、寺田寅彦の「感覚と科学」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
近代の物理科学は、五感や人間的感性をなるべく関わらせずに、自然界を観測できる方法を作った、というように寺田氏はまず説明しています。それは「anthropomorphism からの解放」つまり「擬人観からの脱却」を意味すると、書いています。
科学小説で、火星生物がタコだったり、火星人が赤い人間っぽかったりするのを見ると「ぜんぜん科学の小説じゃ無い、ただの夢小説だなあ」と思うわけですが……近代の科学とは「擬人観から解放されている」のである、と寺田寅彦は指摘しています。同時に寺田氏は、観測者の眼や耳や指先を切り取って、はたして客観的観察というのがほんとうにできるのか、それが実験科学として意味を持っているのか、という考察をしています。五感の能力を重んじることによって、科学の重要ななにかが構築されたのでは、というように思いました。
進歩した科学的観測装置よりも、じつは人間の五感は優れている可能性が高い。たとえば食事が腐っているのかどうかも、人間の舌はまずいものを不味いと、一瞬で判別できてしまうのですが、成分分析はものすごく時間がかかるし、写真解析やAIでは食べ物が腐っているかどうかはどうも判別できない場合が多い。機械的な数値よりも、自分の舌を信用したほうが良い。
眼が見えない人は、その指先でお皿を水洗いすることによって、食器の汚れを正確に感知することが出来るし、偽札と紙幣をしっかり指先で見分けられるのでした。
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追記 寺田寅彦は、本論の後半で、五感を上手く利用しつつ、心理的なものによって観測を見誤らないよう、注意喚起をしていました。







