細雪(70)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その70を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 蛍狩りをしたあと、富豪とのお見合いが失敗に終わって、その帰郷のさなか、蛍籠になぜか蜘蛛が入り込んでいて、列車のなかで暴れだしてしまった。
 この物語ではほとんど出てこなかった軍人が、列車の中でシューベルトのセレナーデを歌いはじめてしまうという奇妙な事態が起きます。さらに姉妹たちもこれに反応をして一緒に歌ってみたのですが、見知らぬ軍人は顔も見せないまま、列車を降りていったのでした。幸子としては、お見合いが破談になった雪子を放りだして帰郷するのはなんとも酷薄なので、蒲郡の常盤館で一泊をして、姉妹たちでのんびり観光することにしたのでした。この物語は関西の幸子を中心に物語が展開するのですが、今回だけは、雪子が東京に帰ってゆくところが描かれました。
 雪子が一人で東京に帰っているときに、列車の中で、なにか見たことのある中年の男がこちらをじっと見つめてくる。よくよく考えると十年前の見合い相手だったことを思いだしたのでした。どうも相性が良くない相手だったので縁談を断ったというのを思いだして、あの時の自分の選択は正しかったなと、いうように考える雪子なのでした。次回に続きます。
 

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(総ページ数/約20頁 ロード時間/約3秒)
当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 

日本国憲法

 今日は「日本国憲法」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  これは戦後すぐから1946年11月にかけて作られた日本国憲法です。戦争の加害と被害を繰り返さないということを中心にして考えられた憲法で、精読するには十年以上はかかるのかと思うのですが、通読は意外と容易で、ほぼ1時間くらいで読める本になっています。
 憲法の前文や本文に記された「自由のもたらす恵沢」や「個人として尊重される」それから憲法がみとめる自由を「濫用してはならない」あるいは「意に反する苦役に服させられない」という文章が印象に残ります。
 戦前戦中の近代文学の時代から極端に変わったのは「検閲は、これをしてはならない」「思想及び良心の自由」「学問の自由は、これを保障する」という言論の自由の箇所かと思います。三木清の生きた時代にこのような法があれば、氏は獄死せずに済んだのではというように思いました。
 また憲法前文には他国の人々が「平和のうちに生存する権利を」持っているべきであるという政治的意志のことが書かれてあり、世界人権宣言と同様に、日本に生きるあらゆる人にも憲法による自由が保障されるのだというように思いました。
 

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(総ページ数/約50頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  本文がむずかしすぎて読めないばあいは、第1条から第7条までをいったん脇に置いて、憲法8条から読みはじめると良いのではと思います。また「子どもとおとなの日本国憲法」という本がインターネット上にも公開されているので、参考にしてみてください。
 

愉快な教室 佐藤春夫

 今日は、佐藤春夫の「愉快な教室」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは現代の日本ではとうてい実現しない話しで、なんとも妙な、教室の中が犬だらけになったという珍事について記した、実話っぽい児童文学でした。もしかすると、たんに口伝の実話をうまくまとめた話しなのでは、と思います。
 愉快な教室というのは、室内に犬がいっぱい入り込んでいる教室で、どうして中学校の中に犬がいっぱい入ってくるようになったかというと、犬好きのM子という娘がいて、それで餌を何度もあげるものだから、これで犬がいっぱい入ってくるようになった。先生も大らかなので、犬を排除しない。さらに餌をもらった犬は意外と従順なので、授業を邪魔したりせずに、M子のそばに集まって座っている。けれどもやっぱり、けものなので教室の中で他の子どもを噛んでしまったりする。犬からするとふざけて噛みついているようである。
 教室で犬を飼うくらいなので、クラスメイトはなんだかずいぶん仲が良い。H子という中学生の親戚が勤める百貨店のツテを頼ってクラスメイトみんなで、ニューヨークのデパートに集団就職するのだ、という計画が出来てしまったりした。
 真相としては、H子にはそういうツテがあるので、英語の勉強さえちゃんとやれば、将来はニューヨークで働ける可能性が高かったのだけれど、この話に尾ひれがついてしまって、クラスメイトみんなでニューヨークで集団就職するのだ、という噂にまで発展し、みんなで英語の勉強に熱心になったというのでした。

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

秋の瞳(21)八木重吉

 今日は、八木重吉の「秋の瞳」その21を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 八木重吉は幼子と聖書のことをよく記した詩人なんだ、と思っていたら、今回は武士の時代の仁王像のような、大きな彫像を彫る仏師が空について思いを巡らせつつ、木を彫るすがたを描きだした詩でした。ちょっと珍しい小品だと思いました。この詩だけを見て、八木重吉の作品だと気が付く人はほとんど居ないのでは、と思います。
 もうひとつの「しづけさ」は、これまでいくたびも重ねて記されている「かなしみ」の詩でした。
  

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(総ページ数/約3頁 ロード時間/約3秒)
 
追記 誤記があったので訂正しました。

藪の中 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「藪の中」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは芥川龍之介の代表作で、平安時代後期のある奇怪な事件を追った小説です。獣道さえ存在しない藪の中での、侍のあらそいの顛末を調べる検非違使と証人たちと、事件に直面した3人の男女の物語です。
 場所について調べてみると、京都の伏見桃山から歩いていって山科に至る寸前の、藪以外はなにもない虚無の空間、そのあたりで起きた怪事件のことが描かれています。
 辞書によれば「検非違使」は平安時代の京都の警察業務をした官職のことで「平安後期には諸国にも置かれたが、武士が勢力を持つようになって衰退した」と書いています。衰退のおおもとである武士にまつわる事件を、検非違使が調べている……時代が変わる要点の、暗部のところを芥川が描いている、というのがなんだか凄いというように思いました。この「藪の中」の映画化作品である黒沢明の「羅生門」は、ヴェネチアで金獅子賞を受賞している名画で、今でも映画の配信サイトで視聴が可能なんです。
 

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追記  今回、再読してみるまで見落としていたことなんですが、盗賊の多襄丸にやられてしまった侍は、日本海側の福井は若狭の侍で、十九歳の妻と2人で、琵琶湖伝いに百キロほど北上する旅をして帰郷しようと、京の桃山を発った、その最中だったんです。気力も体力も漲っているときに、盗人の多襄丸とばったり出くわしてしまって、怪異が起きた、という構成のようです。
 作中に「気を失ってしまった」という証言が繰り返し出てくるのですが、これは記憶が曖昧で、事実か幻かが、判別できません。十九歳の女性である「真砂まさご」は犯人から逃れるために、謎めいた行動をしています。多襄丸が起点となって悪事が現出したのは明らかなんですが、じっさいになにが起きたのかは、誰にどう問うてみても、まったく分からない……。さらに真砂はある日、清水寺に立ち寄っていて、お坊さんに事件の懺悔をしていますが、そのあとどこにでも行けそうですし、どこにゆくつもりなのかがまったく分からないので、ありました。ぼくはこれを3回以上は読んでいるんですが、今回Googleマップで逐一、地名を調べたり、AIとwikipediaを使って官職の名前の意味を調べたりして、やっと全体像が理解できました。とくに「真砂」がどこから来て、当初はどこに行くつもりだったのか、それからのちになぜ清水寺に立ち寄ったのか、というのが初回に読んだ時はよく分かっていなかったように思いました。

射的場と墓地 ボードレール

 今日は、ボードレールの「射的場と墓地」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ボードレールの散文詩を読んでみました。墓地のすぐ側に騒々しい射的場がある……。
 

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追記  墓石に座って酒を飲み煙草をふかしている男は、死者の言葉を聞くのでした。呪われた男を垣間見る、不吉で迫力のある描写に魅了される詩作品でした。