月かげ 豊島与志雄

 今日は、豊島与志雄の「月かげ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 運や偶然を活かそうとしている人のほうが、予想外の出来事に対応しやすくなって、仕事や人生に成功しやすい、という話しを聞いたことがあるんですが、今回の、一人でにこにこ笑っている妙な男の物語では、何かをするときに占いをよくやってしまう様子が描かれます。独特な占いに夢中になっている男の、奇態な話術に引き込まれる小説でした。本文こうです。
quomark03 - 月かげ 豊島与志雄
  世の中には、運命とか天の配剤とか、そういったものが確かにありますよ。私はそれが始終気にかかって、何かで占ってみなければいられないんです。例えば、友人を訪問する時なんか、向うから来る電車の番号をみて、奇数だったら家にいるとか、偶数だったらいないとか、そういう占いをしてみますが、それが不思議によくあたるんです。quomark end - 月かげ 豊島与志雄
 

0000 - 月かげ 豊島与志雄

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
  
追記  なんだか太宰治の、愛人との逸話を思いださせるようなエピソードも立ち現れる、すこし不思議な小説でした。
 

明日 新美南吉

 今日は、新美南吉の「明日」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは幼子のための詩なのか、かんたんな言葉で自然界を活写した、うつくしい詩でした。詩的な言葉づかいではないのですが、こういう詩もあるのか、と思う、明るい作品でした。
 

0000 - 明日 新美南吉

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

秋の瞳(37)八木重吉

 今日は、八木重吉の「秋の瞳」その37を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 しのだけ(篠竹)はササの一種の、細い植物で、この細いことをそのまま詩にしたためた、八木重吉の詩なのでした。
 

0000 - 秋の瞳(37)八木重吉

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
この詩が印象に残りました。
quomark03 - 秋の瞳(37)八木重吉
 ……ポヱジイのこころ
旋律は 水のように ながれ
あらゆるものがそこにをわる ああ しづけさquomark end - 秋の瞳(37)八木重吉
 

可愛い女 アントン・チェーホフ

 今日は、アントン・チェーホフの「可愛いひと」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはチェーホフの奇妙な名作で「オーレンカ」という少女が成長して、良人と暮らしはじめ、なにごとにも夢中になって、近しい人とどこまでも添い遂げようとする、けなげで可愛い姿が描きだされる、近代ロシアのみごとな物語なんです。
 

0000 - 可愛い女 アントン・チェーホフ

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約20頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  ここからはネタバレとなりますので、近日中に読了する予定の方は、先に本文を読むことをお勧めします。不幸つづきで二転三転あっても、オーレンカはずっと「可愛い女」のまま、新たな良人に熱い思いを抱きつづけるという不思議な生きかたを続けるさまが描きだされる物語でした。オーレンカは好きになった人に、すぐに影響を受けてしまうのでした。本文にはこう記されています。
「オーレンカはすっかり彼に恋してしまったのみか、それがまた一通りや二通りの慕いようではなく、その晩はまんじりともせずにまるで熱病にでもやられたように心を燃やし身を焦がし、朝になるのを待ちかねて……」
 中盤の、不幸なできごとからすっかり立ち直ってしまう展開があまりにもみごとで、惹きつけられました。
 おばあさんになっても、他人の子である「サーシャ」を自分の住まいから学校へと送りだすことに、熱中して夢中になっているという、かわいい性格が度を過ぎているオーレンカが描きだされる、チェーホフの魅力あふれる小説になっていました。

 

瀧 今井邦子

 今日は、今井邦子の「瀧」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 瀧の魅力について短く記した随筆で、とくに華嚴の瀧のみごとさについて書いたものです。ちょっと「華嚴の瀧」についてGoogleで検索してみると、この写真がずらっと表示されて、なんとも迫力のある瀧に思いました。いちどは行ってみたい瀧、と思ったんですが、百年前の今井邦子さんはおそらく、汽車を降りてから歩いてじっくりこの瀧を見にいったわけで、それはもう「この感動は一寸筆に表現出來ません」と書くくらいの迫力があったのでは、と、思いました。
 

0000 - 瀧 今井邦子

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

細雪(85)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その85を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 あと十数回でこの長編小説は完結しますので、こんご細雪の全巻を通読する予定の方は、本文の第一章から読むことをお薦めします。
 世間体は気にしない、というのが作者の谷崎潤一郎と、自由奔放だったはずの妙子(こいさん)の考えだったはずなんですが、「細雪」の幸子によれば、物言えぬようになった病床の妙子は、今はほんとうに世間体を気にしているのだから理解して配慮してくれ、ということなのでした。この世間体の究極の形が、病床の悪夢の中に元婚約者の、亡き「米やん」が現れてしまうということが、前章で描かれたのでした。
 細雪の全篇を完読する予定はないけれども、谷崎文学には興味があるというかたなら、本章はお薦めの、読み応えのある章だと思います。
 細雪上巻の第一章と、この章さえ読めば、細雪の全篇はあるていど見えてくるのでは、というように思える、濃い内容の章でした。戦争が激化する前に記されて、敗戦間近にも秘密裡に書き継がれて、戦後に完結編を描こうとしているという、文豪の労苦の成果というのが垣間見えてくるように思いました。
 こいさんと、窃盗者の啓坊は、家から一時的に勘当されて、生活基盤が痩せ細った結果、戦時中の多くの人々と同じように、病にかかってしまって治るものも治らなくなってしまった、という状態が描かれるのでした。そこから幸子一家の尽力で、なんとか病院の片隅で赤痢の治療をするということになったのでした。おそらくこれは最終話までに治るはずなんですが、かなり死期の迫る描写があるのでした。細雪中巻の巻末では、妙子の愛した板倉勇作(米やん)が病院で身罷る場面描写があったのですが、これと本章の入院の描写が、不吉にも重ね合わせられるのでした。
 

0000 - 細雪(85)谷崎潤一郎

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約20頁 ロード時間/約3秒)
当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)