細雪(26) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その26を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 いったん東京で暮らすことになった雪子なんですが、今回は、お見合いのためという名目で、関西のみんなのところに帰ってくることになって、これを迎えるために、ちょっと早いけれども雛人形を飾ることにした。おそくまでお雛さんを飾っていると縁起が悪いけれども、早めに飾るのはかまわない、というような話しから26話が始まります。
 大家族の方針としては、鶴子の一家といっしょに妙子と雪子を東京で暮らすようにして、幸子夫婦は関西に残る、ということだったんですが、東京での暮らしが整わず、雪子は「貧乏くじ」いたような狭いところでの生活になってしまっていて、妙子はとうしょの予定とはちがう大阪で、自由な日々を送っているところなのでした。こんかい妙子が、お姉さんの雪子をお迎えにゆくのでした。妙子と雪子の仲睦まじい描写がありました。
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 貞之助と三人の姉妹とは応接間の煖炉だんろにぱちぱちはねるまきの音を聞きながら、久しぶりに顔をそろえてチーズと白葡萄酒の小卓を囲んだ。quomark end - 細雪(26) 谷崎潤一郎
 
という、ちょっとぜいたくな暮らしが描かれるんですが、これが戦争末期ごろの危険な時代に記されたと思って読むと、当たり前の暮らしが美しく描かれていることに、源氏物語や「陰翳礼賛」を連想させる、谷崎の雅な文学性を感じるのでした。
  

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)