吉野葛 谷崎潤一郎(3)

 今日は、谷崎潤一郎の「吉野葛」その3を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 谷崎と言えば「痴人の愛」や「まんじ」の、ダイナミックな物語展開が印象に残るんですが、今回はそういう小説じゃないんです。ちょっとなんだか、旅日記や歴史解説のようで、予想外なのが逆におもしろく感じました。
 義経が立ち寄ったという伝説がある「うたたね橋」は、今はもう橋じゃなくなっていてただの石柱が横になって転がっているだけ、のようです。
 今回、谷崎は万葉集の「み吉野の 山のあらしの 寒けくに はたや今夜こよひも 我が独り寝む」について記しています。
 ぼくはちょっとよく分からなくて、wikiで関連頁を調べると、どうも「義経千本桜」という歌舞伎の演目の終盤に、こんかい谷崎がいろいろ論じている話が出て来るんです。頼朝から逃れた義経が吉野に身を隠している、そういう描写がある。その歴史を調べている谷崎潤一郎にそっくりな主人公は、吉野をいろいろ取材している。
 大谷という家を尋ねて、そこの秘宝を見せてもらう。「菜摘邨来由なつみむららいゆ」という巻物が登場します。義経と恋人の静が、この吉野の大谷家でしばらく泊まり込んだそうです。この義経千本桜の内容を紹介した頁を読んで、やっとこの「吉野葛」が作中で何をしようとしていて何を書いているのか、すこし理解できました。
 

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