惑い(2) 伊藤野枝

 今日は、伊藤野枝の「惑い」その2を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 谷と母。それから逸子。この3人が暮らす家では、稼ぎ手がもう2年間も居なくなっています。谷はもともとは働いていたのですが、そこでの労働が上手くゆかず、職を辞さざるをえなかった。ほとんど無一文になった3人の家で、谷には子どもも居る。けれども新しい仕事をはじめようとして谷は煩悶しているところで、すぐ側にいる逸子は、今すぐに働いてくれとはとうてい言えない。やむを得ないので竜一にお金を工面してもらっている。逸子は谷と話して、仕事はどうするつもりか、それとなく聞いてみるのですが、谷は「とても文学は望みがないし」尺八でも吹いて旅をして暮らしたいと、スナフキンみたいなことを言いはじめます。
 漱石の文学活動の期間と、伊藤野枝の活動期間はほぼ同時代で、漱石のほうが9年くらい先輩で、同時期に創作もしています。漱石が見ていた時代は、こういう家庭環境が多かったのでは、というような、明治大正の文学者たちの暮らしが少し見えてくるように思いました。次回に続きます。
 

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