細雪(38)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その38を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 谷崎文学と言えば、現実では考えられないような奇想の事件が起きることが最大の特徴だと思うんですが、今回の「細雪」は発禁処分を受けたあと、帝国の検閲を免れる必要があったので、騒乱を起こさない、現実的な物語になっているんです。大洪水という罹災が起きても、そこで事件らしい事件が起きない、静かな展開になっていました。
 妙子を助けに来た、貞之助と板倉は、洪水のあと泥土で塞がった街を移動して、なんとか家に帰りつくのでした。
 罹災の翌日、家族は運よく穏やかに過ごすことが出来て、体調も数日で治った。水害に遭った妙子には、罹災の恐怖だけ残っていて、雨音に恐怖を感じてしまうことがあった、という記載が印象に残りました。敗戦して空襲が終わったあと、平和になってから読まれた本なのでした。
  

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
 
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)