細雪(31) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その31を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は、四女の妙子(こいさん)と彼女のパートナーである奥畑(啓ちゃん)のことについて、姉の幸子が話し合う、という内容でした。妙子は、子ども向け人形づくりというのを辞めて、もっと本格的な創作である服飾をやりたいのでフランスでこの技術を学びにゆきたい、と考えているんです。谷崎の源氏物語の現代語訳でも思ったんですが、どうも与謝野晶子の人生に似たことが書いてあるようにも思いました。
 こんかい作中で、妙子の意思として「何かもっと社会的に有意義なことをやりたい」と書いています。妙子がのちのちどう生きるのか、これを想像する姉の思いが、事細かに記されているのでした。妙子はおおむねこう考えているのでした。「啓ちゃんのような下らない人を恋するようになったのも何かの因縁と思うばかりで、後悔はしていない、ただ啓ちゃんと結婚するについて、心配なのは生活の問題」と、芸術創作と資産のことをいくつか考えてゆくのでした。妙子は奥畑の資金をいっさい頼らずに、経済的にも自立して生きるという意思があるんです。早晩辞めるつもりでいる人形創作の仕事も、その技量を認められて注文が増えつづけていて、辞めるはずの仕事をいま妙子は、熱心にやっている。それから妙子が学んでいる「山村舞」と、これを教える師匠のことが記されていました。
 また隣家のドイツ人シュトルツ家のこともふたたび記されていました。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
 
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)