僕たちは愛するけれど 小川未明

 今日は、小川未明の「僕たちは愛するけれど」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 小川未明の童話は、小学校の高学年を対象にしたものが多いと思うんですが、今回の童話はもっと幼子むきなのかと思いながら読みました。今回のは代表作とはずいぶん雰囲気が異なる、ネコと子どもたちの物語です。日本でもエジプトでも猫はずっと繁栄してきたわけで、猫の200年間の近現代史を、詳細に学んでみたいと、思うような童話でした。
 

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あの頃の自分の事 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「あの頃の自分の事」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは序文に、実話をただ単簡に書いたものだ、と、私小説のように書いた作品だ、と記しているんですが、学生時代の文学活動について書いています。けっこういろんな作家のことが記されていて、シェークスピアから田山花袋、ロマンロランに、ドストエフスキー、谷崎潤一郎、永井荷風、テオフィル・ゴーティエボードレール……あと武者小路実篤氏の作品と思想についてことこまかに記していました。
 芥川龍之介が『鼻』を書いている頃の、文学活動についていろいろ書いていました。
 後半で、喫煙室に偶然やって来た谷崎潤一郎のことを書いています。谷崎潤一郎と芥川龍之介は、文学批判の応酬をしたことで有名なんですけれども、その前段の関わりと、前期谷崎作品に対する寸評が記されているというように思いました。谷崎のほうが5歳くらい年上で5年はやく作家になっているんですけどほぼ同年代というように思います。
 本作では「鼻」を書いた時期に「財布」という作品も書いたらしいのですが、ぼくにはこの題名の作品がどこにあってどういう作品なのか、分からなかったです。芥川の作品には「財布」に関してこういう記載があります。
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  クリストの財布(略)クリストの収入は恐らくはジヤアナリズムによつてゐたのであらう。が、彼は「明日のことを考へるな」と云ふほどのボヘミアンだつた。ボヘミアン?――我々はここにもクリストの中の共産主義者を見ることは困難ではない。しかし彼は兎も角も彼の天才の飛躍するまま、明日のことを顧みなかつた。「ヨブ記」を書いたジヤアナリストは或は彼よりも雄大だつたかも知れない。しかし彼は「ヨブ記」にない優しさを忍びこます手腕を持つてゐた。この手腕は少からず彼の収入をたすけたことであらう。彼のジヤアナリズムは十字架にかかる前に正に最高の市価を占めてゐた。しかし彼の死後に比べれば、――現にアメリカ聖書会社は神聖にも年々に利益を占めてゐる。……(続西方の人より)quomark end - あの頃の自分の事 芥川龍之介
 

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細雪(6) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その6を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 幸子の子どもである悦子(悦ちゃん)はまだ玩具でおままごとをする年齢で、それにしては日本語をかなり上手くしゃべるので、ちょっと年齢不詳に思います。
 三女の雪子は、この悦ちゃんのことを好きで可愛がっています。結婚して子どもが生まれても、こんなに可愛いと思うことはないのでは、というくらい、雪子と悦ちゃんは、母子以上に仲が良いようです。母親みたいなお姉さんみたいな存在として、姪の悦ちゃんと睦まじいんです。
 両親が幸福な時期に育った幸子は温室育ちで、肝心なところでちょっと頼りないところがあるそうです。三女の雪子が、幸子と悦子の母子のあいだにたって、家庭教師みたいに世話をしているところがあるんです。
 雪子は献身的に、幸子夫婦のために家の仕事をすることもあるんです。
 雪子は、肝心な時期に両親と親交が無かった。ふつうなら夫や子どもとすごす時間も、今のところ無い、いろんな人と深い関わりがあるはずなんですが、雪子はちょうど今なにか深く関わる家族というのが抜けおちているようです。
 この雪子が、こんかい谷崎潤一郎が戦時中に描こうと思った主人公なんだろう、と思いながら読みすすめています。読み方としては正しくないと思うのですが、おそらくウクライナの現代文学でいま、谷崎の細雪のようなすぐれた作品が描かれているところなのでは、と思いました。
 

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)

人生における離合について 倉田百三

 今日は、倉田百三の「人生における離合について」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 江戸時代に主流であった近松の創作物があって、そのあとに近代小説があるわけで、こんかい倉田百三が、日本の愛別離苦について書いています。
 万葉集の大津皇子における離別の記載が興味深く、チェーホフの文学性や、レテ川のことについても記していました。
 江戸の情緒的な戯作から、近代の理知的な創作への変化のぶぶんを論考しています。
 この随筆は、人生訓のような箇所もあって離別や苦があっても『自然に率直に朗らかに「求めよさらば与えられん」という態度で立ち向かうことをすすめたい』と言うようなことも記しています。階級社会や家系社会が減退して、自由恋愛が一般的になっていった時代の、随筆に思いました。
 もう当時とは、かんぜんに変わってしまっているので、ちょっと逆立ちして世界をのぞき込んでいるような、奇妙な部分もあるんですけど、現代人の言わないことを書いているのでなんだか引き込まれるエッセーでした。戦争が終わる三年前の不穏な時代に、婦人公論に発表された随筆なのでした。終盤の「祈り」と鎮魂の文が印象に残りました。
  

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妻 横光利一

 今日は、横光利一の「妻」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 夫婦のなんだか朗らかな暮らしのなかで「私」は庭のカマキリの生態を観察していると、メスのカマキリが夫を食べてしまって、養分になってしまう。終盤の「私」の指摘を上品に読み説いた場合、どういった言いかえになるんだろうかと思いました。妻子を養えたら誰だって喜ぶ……。末尾のとくに意味を持たない、おだやかな会話の四行が、映画の結末でこれを目の当たりにしたら、なにか満足度が高いのではと思いました。
  

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ゲーテ詩集(26)

 今日は「ゲーテ詩集」その26を配信します。縦書き表示で読めますよ。
 今回の詩を読んでいて、ゲーテファウストの中盤と終盤の重要な場面を思いだすんですけど、ゲーテの文学への考え方の、徹底ぶりを感じました。ずっとえんえん今回の詩に通底することを、描きつづけたんだなあと、一貫性のある作家だ……と思いました。
 

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