吉野葛 谷崎潤一郎(1)

 今日は、谷崎潤一郎の「吉野葛」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今日から6回に分けて、この小説を読んでゆこうと思います。谷崎潤一郎と言えば「痴人の愛」とまんじがぼくは大好きなんですが、今回の小説はちょっとけっこう難解なことが書いてあって、ようするにある小説家が、奈良は吉野の南北朝時代に生きた「自天王」と五鬼のことを調査している。吉野の側からみた南北朝時代における伝説についていろいろ論じている。
 ところでぼくは知らなかったのですが、五鬼継という家系は今もあって、wikipediaにも掲載されているのでした。
奈良は生駒に鬼取町という村があって、そこでかつて捕らえられた五鬼の子孫……というのが吉野に生きてきたと……。
 古い本に書かれた鬼というのはモンスターのことでは無く、人のことをどうも書いているようです。じゃあ古事記の黄泉の国にいる鬼はなんだったんだ、とか思いました。
 

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KからQまで 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「KからQまで」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 寺田寅彦は、物理学者なので随筆を書いていても考察の積み重ねが正確なんだ、と思います。それでいて思考の柔軟さにいつも驚くのですけれど、こんかい聴覚・視覚障害のかたについての考察を第5段落で行っていて、こういう発想を持ったことは無かった、と思いました。眼も耳も2つも4つも使う健常なはずの人間というのは、ちょっと身体の機能を使いすぎてしまっていて過剰になっている……。終盤の病に関する考察も予想外のことが書いてあって、興味深い随筆でした。ただしい内容は寺田寅彦の本文をご覧ください。
  

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追記
 パラリンピックが8月24日から始まって、NHKプラスをつかっていろんな動画を見てゆきました。ボッチャという競技をパラリンピックに適用していったイタリア人たちは、なんだかすごい発明をしたんじゃないかと思いました。ほとんど動きがたい状況であってもスポーツや遊びや鍛錬を作りうる、というのが見て分かるのがみごとな競技だと思いました。

象を撃つ ジョージ・オーウェル

 今日は、ジョージ・オーウェルの「象を撃つ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ジョージ・オーウェルの作品は「1984」が有名で、現代でも最新訳でこれが読めるんです。この「象を撃つ」というのはちょっとすごい作品で、苦力を殺してしまった害獣のゾウを、英国人がライフルで撃つ。一文で書くと、法的にも倫理的にも、なんの問題も無さそうに見えるんですが……、行為者本人が自身の悪について論考している。帝国批判の書でもあるんです。オーウェルのような批評性のある近代作家はほとんど居ないのではないかと思いました。物語上での問題は、正当防衛と言えない時間差があることで、今まさにもう1人の人間が被害にあいそうだというときに害獣を銃撃することは、明確な正当防衛であってなんの問題も無いんですが、ゾウはすでに殺人の意思を持たない状態になっていて、撃つ必要がほとんどまったく無くなっているのが、主人公の行為に違和感を抱かせるんです。
 見えないところからの嘲笑、それから逃れたいがために、問題を大きくしてしまう……。最後の一文で、主人公の思惑の真相が明記されていて、これにも唸りました。
  

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晶子詩篇全集拾遺(70)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(70)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 小鳥の巣と、旅立つ家を重ね合わせた詩がすてきでした。
 

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F村での春 牧野信一

 今日は、牧野信一の「F村での春」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 F村に住みはじめた、この主人公は夜に眠れずに昼寝ばかりしている男なんですけど、夫婦でなんとか暮らしている。
 欲望の中でいちばん自制のむつかしいのが、睡眠欲なんだそうですけど、ぼくは時間だけは余裕のある生活なので、いつも多めに眠っているんですけど、この作品の主人公樽野はたっぷり時間があるのにどうも睡眠から切り離されている。それでいて昼間は眠気に襲われている。鬱々とした小説なんですけれども、ちょっと観光に出かけてみるところから、妙にすがすがしい描写があり、そのあと男は奇妙な計画を思いつくのでした。
 なんだか水木しげるの「睡眠力」というのを思い出しました。

0000 - F村での春 牧野信一

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もみの木 アンデルセン

 今日は、ハンス・クリスティアン・アンデルセンの「もみの木」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 生まれた土地と、その先の世界について考える、若いもみの木のはなしでした。大人になると自分たちはどこへいって暮らしはどうなるのか、ということが書かれています。植物のたいていは、本体は動かないのに、種や花粉は風や鳥に連れてゆかれて遠い世界で子どもたちが大地に根差すわけで、本文には書かれていない植物の特性が気になってくる童話でした。仲間のもみの木が、森から外へと連れ出され、それからどうなったかを知りたい、主人公のもみの木なんですけれども、アンデルセンのこの言葉が印象に残りました。
 quomark03 - もみの木 アンデルセン
  荷車にぐるまにつまれて、馬にひかれて、森を出ていくとき、もみの木はこうひとりごとをいって、ふしぎがっていました。
 みんな、どこへいくんだろう。いったいどうなるんだろう。
 春になって、つばめと、こうのとりがとんで来たとき、もみの木はさっそくそのわけをたずねました。
「ねえ、ほんとにどこへつれて行かれたんでしょうね。あなたがた。とちゅうでおあいになりませんでしたか。」quomark end - もみの木 アンデルセン

0000 - もみの木 アンデルセン

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