にぎり飯 永井荷風

 今日は、永井荷風の「にぎり飯」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦争中の焼け跡を歩く佐藤という男。家族を失った男女2人が出会って、炊き出しのにぎり飯をもらい、のちに再会して恋愛が生じている……ということが永井荷風の精妙な描写で自然に描きだされていて、すごい小説でした。
 1944年の戦時中とかは、このあとどういうことになるのかさっぱり分からないわけで、それが事後に見ると、オチが分かっているわけで、そうするとその渦中の時代になにが重大だったのかが見えてくるわけで、永井荷風が戦後数年たったあとに、戦中のことを書く、というのがなんだが興味深かったです。オチが分かると、渦中の時代の意味が見えてくるというのか、文学は結末が判ってからでも、かえって興味深い作品があるように、思いました。安産の祈願をするシーンがほんの少し挿入されているんです。永井荷風はそこに感動をもたらそうとは思っていないはずなんですけれども、鎮魂と慰霊の描写がどうも、感慨深かったです。
 

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KからQまで 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「KからQまで」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 寺田寅彦は、物理学者なので随筆を書いていても考察の積み重ねが正確なんだ、と思います。それでいて思考の柔軟さにいつも驚くのですけれど、こんかい聴覚・視覚障害のかたについての考察を第5段落で行っていて、こういう発想を持ったことは無かった、と思いました。眼も耳も2つも4つも使う健常なはずの人間というのは、ちょっと身体の機能を使いすぎてしまっていて過剰になっている……。終盤の病に関する考察も予想外のことが書いてあって、興味深い随筆でした。ただしい内容は寺田寅彦の本文をご覧ください。
  

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追記
 パラリンピックが8月24日から始まって、NHKプラスをつかっていろんな動画を見てゆきました。ボッチャという競技をパラリンピックに適用していったイタリア人たちは、なんだかすごい発明をしたんじゃないかと思いました。ほとんど動きがたい状況であってもスポーツや遊びや鍛錬を作りうる、というのが見て分かるのがみごとな競技だと思いました。

病院の窓 南部修太郎

 今日は、南部修太郎の「病院の窓」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 百年前も今も、共通しているところは多くあると思うんですけど、今日は病院で長らく闘病生活をした南部修太郎の随筆を読んでみました。いちど死んだような、重病を経験した、そのことを丁寧に記しています。
 ぼくは近現代史をちょっと調べてみて、ワクチンや特効薬は開発数年ていどではあまり効果のある成果を出せず、十年後あたりに良いものが出てくるはずだと思いこんでいたんですけど、ワクチン接種を積極的に行った2021年夏のイギリスの、感染者数と死者数の変化を見ていて、現代のワクチンと専門医療は死亡件数を八割以上減らすことができたという結果が出たので、重症になっても絶対に生き残りたい人が多い国では、事前のワクチン摂取と最新医療は重要なんだと考え直しました。
 南部修太郎は若い頃に九死に一生を得てから、15年間ほど長いこと文学活動を行えた作家で、実話の随筆はすごい迫力で、首も動かせないような重い病を何十日も忍びつづけ、やっと歩けるようになって退院する、その前夜の心象を記しています。病で亡くなった人への、南部修太郎による追悼の思いが記されていました。

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乾あんず 片山廣子

 今日は、片山廣子の「ほしあんず」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  ぼくは三年くらい、河原の植物を毎日ながめている機会があったのですが、管理されてない川辺の領域に、いろんな植物が勝手に育ってゆくのを見たんです。治水工事や増水がくるとそれらは一変するのですが、それが来るまでは野方図に草が広がっていって見飽きないんです。管理と無方の境界のところがおもしろいように思います。
 手入れのゆきとどいたフランス式庭園ではなくって、雑草を中心にして、植物同士で自然に繁ってゆく、そういう芝庭の美しさ、それから西欧のむかしばなしと夢想を、片山廣子が書いています。
 

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神田を散歩して 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「神田を散歩して」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議なエッセーで、寺田寅彦が二十数年のちの未来に撤去されることになる広瀬中佐の銅像を見上げたときの、奇妙な感覚について語っているんです。広瀬中佐の銅像についてはGoogleで検索してみるとけっこうおもしろいんですよ。なぜこれを建てたんだ? とも思いますし、じっさい日本各地にまだ中佐の像が残ってたりもするんですよ。じっさいにこの像を見に行ってみたら、途方にくれつつカメラにおさめる気がする……とか思いました。日本の奇妙さについて、寺田寅彦が論じています。 
 ちょっとジョージオーウェルの小説「1984」のような奇妙な都市空間を連想しました。寺田寅彦が語っている内容を、検索しつつ読みすすめてみたのですが、今読んでも現代的な問題を取り扱っていて、みごとな随筆に思いました。
 

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本の事 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「本の事」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 夢の中で見た本のはなしが不思議なものでした。存在しない本について評論したスタニスワフ・レムの小説のことを思いだしました。

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