野分(2) 夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「野分」その(2)を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 12回にわけて、漱石の野分を読んでいるところなんですけど、今回、若い物書きの高柳君とその友人の中野君が登場します。作中の人物解説はこうです。
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 高柳君は口数をきかぬ、人交ひとまじわりをせぬ、厭世家えんせいかの皮肉屋と云われた男である。中野君は鷹揚おうような、円満な、趣味に富んだ秀才である。quomark end - 野分(2) 夏目漱石
 
 第1話に出てきた白井という文学者は、十数人がかりの子どもたちにいじめられて、学校を辞めさせられてしまった。どうもこれを先導した中学の先生がいるようである。このあたりは坊っちゃんでも描かれたユーモアのある展開も、あるんです。
 ホルマン・ハントの絵画を鑑賞しながら、空想小説を書いたら良い、と親友に語る……。作中で、小説を書く時の考え方を記しているんです。どういう小説を書きたいかというと「痛くっても、苦しくっても、僕の内面の消息にどこか、触れていればそれで満足するんだ」と、このあとの議論が興味深かったです。
 これが漱石の文学論と言えるのか、あるいは無名で間の抜けた若者の頼りない考えなのか、よくわからない。虚実のグラデーションが入り混じっていて、虚そのものでもない、実そのものでもない、曖昧な領域でものの考えが記されていて、そこに魅力を感じました。
 

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野分(1) 夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「野分」その(1)を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これから12回にわけて、漱石の野分を読んでゆこうと思います。数カ月くらいかかると思います。下記リンクから全文を読むことも出来ますので、そちらもご利用ください。ぼくは漱石の長編を5つくらい読んだんですけど、この「野分」ははじめて読みます。これちょっとすごい作品で、「坊っちゃん」の迫力と、「私の個人主義」といった漱石のじっさいの思想とが、入り混じったような構成で始まります。漱石と言えば、作者と主人公とがずいぶんかけ離れているところにその小説の魅力があって、なにせ処女作は、主人公がどこにでも入りこむ小さな猫だったわけで、それからプー太郎いまでいうニートを主人公にして物語を描くこともあります。今回は、主要登場人物と漱石はかなり近しい人物像に思います。どちらも文学者で……次回に続きます。
 

0000 - 野分(1) 夏目漱石

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論語物語(28) 下村湖人

 今日は、下村湖人の「論語物語」その28を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 論語物語は今回で完結です。
 孔子が広く知られるようになったのは、孔子の没後千五百年くらい経った宋の時代からなんだそうです。孔子が生きた時代から百数十年後に、弟子たちが編纂して孔子の本がまとまった。哲学者の和辻哲郎はこういうように記しています。
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 漢の儒学はその孔子理解を通じて漢の文化を作ったのであり、宋学もその独特な孔子理解を通じて宋の文化を作ったのである。が、これらの歴史的発展を通じて魯の一夫子孔子は人類の教師としての普遍性を獲得した。quomark end - 論語物語(28) 下村湖人
 
 孔子の晩年の仕事を、下村湖人はこう記します。
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 門人たちに道を説くことのほかに、中国において孔子にゆるされている、ただ一つの仕事は、古典の究明である。政治の実際に当って舵をとるには、彼の智慧は、諸侯の心とあまりにへだたりがあり過ぎた。そして、彼自身でも、彼の中国に対する最後の、そして最上の贈物が、倦むことなき古典の究明であることを、も早や知りすぎるほど知っているのである。quomark end - 論語物語(28) 下村湖人
 
 下村湖人はさいご、孔子と泰山を象徴的に描きだしていました。泰山にはいつか行ってみたいなあと、思うような描写でした。ぼくは「老子」が好きなんですけれども、唐の韓愈によれば、孔子が老子から教えを受けたという説は否定されているのです。ぼくとしては、下村湖人が考える、孔子と老子の出会いの記述は重要に思えました。論語を読み終えたら、こんどは老子を学びたいように思いました。
 

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 それから、0円で読める論語を四冊ぶん集めた論語全集を作りました。このページをお気に入りに登録して原稿用紙千三百枚の大長編を完読してみてください。
「論語全集」は、下村湖人の「論語物語」「現代訳論語」の二作と、和辻哲郎の「孔子」と中島敦の「弟子」、合計四冊をひとつに収録した、論語を学ぶためのアンソロジー電子書籍です。原稿用紙約千三百枚の大容量作品になっています。下村湖人の描く論語物語では、貧しくても「道を楽み」豊かになっても「礼を好む」というエピソードから物語が始まります。
  
【第一巻】「論語物語」下村湖人
【第二巻】「孔子」和辻哲郎
【第三巻】「弟子」中島敦
【第四巻】「現代訳論語」下村湖人
 

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追記
次回から漱石の本を読んでゆこうと思います。

 

論語物語(27) 下村湖人

 今日は、下村湖人の「論語物語」その27を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 論語物語は次回で完結です。
 「老子」は、深淵な思想書であると思うのですが、「論語」はもっと実社会に即したもので、権力と仁について論じられているものだ、と思います。ただやはり孔子も年老いて最後には、老子のごとき幽玄な物語が描きだされます。もっとも信頼した弟子の顔回への哀悼の意が記されます。
 二千五百年間も読みつがれた論語の物語の終盤が描きだされます。今回の章だけを読んでも、孔子の魅力はじゅうぶんに感じられると思います。

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論語物語(26) 下村湖人

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 孔子は、貧しい暮らしの中でも学問に深く打ちこんだ顔回(顔渕)を、とても高く評価してきました。
 今回は、まだ仕事をしっかり実現できそうにないということで仕官を辞退した漆雕開しつちょうかいとの話しです。
 漆雕開には「思慮と、反省と、謙譲の徳」がある、孔子はそう考えて肯定した。その上でこう言うんです。
「三年間学問に精進して、なお俸禄を求めない人があったら、その人こそ、真に得易くない人間じゃ」
 現代の義務教育でも九年あるんですけれど、ここでいう三年というのは、どうも長年という意味も含まれているらしいです。
 孔子は歴史的な賢者だったのですが、晩年になってもいまだに、政治を行うための権力を得てはいないままなんです。正しい政治を実現することを理想として生きたはずなのですが、政治的には無力な状態でずーっと学問と哲学をやっていったのが孔子なんです。
 

0000 - 論語物語(26) 下村湖人

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論語物語(25) 下村湖人

 今日は、下村湖人の「論語物語」その25を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 論語物語は、残り数回で完結します。孔子はずいぶん年をとって、かつてのように世界中を旅して、さまざまな政治的問題に直接ぶつかってゆくことはなくなり、弟子たちに孔子の思想を教えてゆく最後の仕事を行っています。孔子の有名な言葉に、こういうのがあります。
「吾れ十有五にして学に志ざす。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして……」
 下村湖人の日本語訳はこうなっています。
「私は十五歳で学問に志した。三十歳で自分の精神的立脚点を定めた。四十歳で方向に迷わなくなつた。五十歳で天から授かった使命を悟った。六十歳で自然に真理をうけ容れることが出来るようになつた。そして七十歳になってはじめて、自分の意のままに行動しても決して道徳的法則にそむかなくなった」
 今回はもうすでに、七十歳を超えた孔子の思想が語られます。もうほとんど話さない。こんかい、まさに「七十歳になってはじめて、自分の意のままに行動しても決して道徳的法則にそむかなくなった」という孔子の姿が書きあらわされています。
 若い弟子たちはどうも孔子の考えを理解してはおらず、的外れすぎる悪口ということが今回、論じられてゆくことになるんです。それに孔子はたった一言を告げるのです。なるほどと、納得のゆくところがありました。孔子は話術で相手を動かすと言うよりも、相手の思いを汲み取って、そこに働きかける。孔子がこのときいちばん信頼している弟子の、子輿(本名を曾参そうしん)の話しは面白く、なんだか日常の礼儀作法のはなしは、禅の思想のような印象がありました。
 

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