今日は、中野鈴子の「わたしの正月」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
中野鈴子という詩人の作品を僕は今回はじめて読んだのですが、中野重治のじつの妹さんなんだそうです。なんだか、ビックリして読みました。すごい直接的な詩作品なんです。中野重治の兄妹だ、とわかる感じの詩なんです。「年ぐ米」と書いているので、かなり昔の農民のことを描いている詩です。ちょっと調べてみると、wikipediaには「年貢」のページに「敗戦後、地租は固定資産税という名称に代わり現代でも事実上年貢にあたる税はある。」と書いていて面白かったです。日本に住んでいたらみんな消費税という年貢を支払っている、とも言えるかもしれないです。
出版は一九三二年の十五年戦争の初期の頃のものなので「ひっくりかえしたい」というような一部の言葉が「xxxxかえしたい」という伏せ字になっています。「みんなの胸たたいて」という詩の一節が印象に残りました。
山の歓喜 河井酔茗
鈍走記 竹内浩三
今日は、竹内浩三の「鈍走記」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
ぼくは今回、はじめて竹内浩三という名前を知りました。この人は敗戦の寸前まで生きた詩人で、戦前と戦中だけを生きた……日大で映画を学んでいた青年だそうです。
遁走というと逃げ出すことを意味するのですけれど、この詩の題名は、鈍走です。のろく走る……。この短い詩だけを読むと、なんだかユーモラスな作品のように思えました。他の詩はどんななのでしょうか。この詩の言葉が印象に残りました。
おれは、人間という宿命みたいなものをかついで鈍走する。すでに、スタアトはきられた。