論語物語(25) 下村湖人

 今日は、下村湖人の「論語物語」その25を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 論語物語は、残り数回で完結します。孔子はずいぶん年をとって、かつてのように世界中を旅して、さまざまな政治的問題に直接ぶつかってゆくことはなくなり、弟子たちに孔子の思想を教えてゆく最後の仕事を行っています。孔子の有名な言葉に、こういうのがあります。
「吾れ十有五にして学に志ざす。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして……」
 下村湖人の日本語訳はこうなっています。
「私は十五歳で学問に志した。三十歳で自分の精神的立脚点を定めた。四十歳で方向に迷わなくなつた。五十歳で天から授かった使命を悟った。六十歳で自然に真理をうけ容れることが出来るようになつた。そして七十歳になってはじめて、自分の意のままに行動しても決して道徳的法則にそむかなくなった」
 今回はもうすでに、七十歳を超えた孔子の思想が語られます。もうほとんど話さない。こんかい、まさに「七十歳になってはじめて、自分の意のままに行動しても決して道徳的法則にそむかなくなった」という孔子の姿が書きあらわされています。
 若い弟子たちはどうも孔子の考えを理解してはおらず、的外れすぎる悪口ということが今回、論じられてゆくことになるんです。それに孔子はたった一言を告げるのです。なるほどと、納得のゆくところがありました。孔子は話術で相手を動かすと言うよりも、相手の思いを汲み取って、そこに働きかける。孔子がこのときいちばん信頼している弟子の、子輿(本名を曾参そうしん)の話しは面白く、なんだか日常の礼儀作法のはなしは、禅の思想のような印象がありました。
 

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『論語』はこちら(※論語の原文に近い日本語訳です)

顔の美について 伊丹万作

 今日は、伊丹万作の「顔の美について」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 岸田劉生の晩年の顔がすごいんだ、という話しからはじまり、人間の美を論じてゆくのですけれども、岸田劉生の絵画と見合わせながら読んでゆくと、なるほどと納得のゆく話でした。左右対称で均整のとれた顔が美しいというような話しでは無く、「どんなに醜くても醜いなりの調和」をもつ、生まれながらの顔つきについて論じています。
 シミやシワというのが美を損なわせるのでは無くて、人工的な加工によって醜さが出現してしまう……。デザイン論として読むとかなりギョッとする内容で、もっと伊丹万作の美学論を読んでみたい、と思いました。さがしたらいろんな随筆が見つかると思うんです。
 

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姦 久生十蘭

 今日は、久生十蘭ひさお じゅうらんの「かしまし」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは1950年あたりの日本の出来事を記した短編小説で、亡くなった、ということにして町を去ったはずの女が、なぜだかどうも生きて帰ってきている。女たちが電話で長話をしているのですけれども、ずいぶん面白いことを言っている。この物語の数年前の当時は、戸籍もあいまいだったし、生死の記録もあいまいだったようです。かしましい女たちの、虚実いりまじった話しがすごい迫力で、後半の起承転転転結という感じの展開がみごとでした。
 

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晶子詩篇全集拾遺(54)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(54)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 与謝野晶子の詩集には、恋愛と、自然界と、母子のことがおもに描かれてきたと思うのですが、今回は先生としての与謝野晶子が前面にあらわれてくる、祝辞の詩でした。2018年まで運営されていた文化学院の創設に深く関わっていたのが与謝野晶子と夫の鉄幹なのでした。この学校のことはwikipediaに詳しく書いていました。与謝野晶子たちが文化学院で教えていた芸術と記録は、今は長野のルヴァン美術館というところにいくつか収蔵されている、らしいです。はじめて知りました。
 

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神は弱いものを助けた 小川未明

 今日は、小川未明の「神は弱いものを助けた」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 神は……、というとぼくは「神はサイコロを振らない」という言葉を妙にうろ覚えしていて、これはいったいなんの意味で告げられた言葉なのだろうかと調べてみたら、アインシュタインの言葉だそうです。
 過酷で多様なありさまをみせる日本の自然界が、小川未明によって描きだされます。
 

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女王スカァアの笑い フィオナ・マクラウド

 今日は、フィオナ・マクラウドの「女王スカァアの笑い」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ウィリアム・シャープが暗い女王を描きだしているのですが、そこはかとなく美しい、アイルランド神話の世界でした。
 「影の者」という意味を持つスカァアという名の女王と、ケルトの英雄であるクーフーリンの物語です。
 クーフーリンは少年時代から、美の神のごとく美しかった。フィオナ・マクラウドはこう記します。
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  クウフリンの身辺には光があった、ちょうど日の入り方一時間前ぐらいの山々の夕ばえのような光であった。quomark end - 女王スカァアの笑い フィオナ・マクラウド
 
 女たちが勇ましく剣と槍で武装し海賊たちを討ち滅ぼしている。残酷な女王は、クーフーリンがただ己の使命のために、スカァアの国を去って旅だったことを、さみしく思うのです。愛おしい男であるがゆえに彼は自分の道を歩んで去ってゆく。その離別の悲しみのほうが、なににもまして女王の心を捉えている。「すべての上に深い平和が来た」という一文と、その前後の描写が美しかったです。
  

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