野分(6) 夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「野分」その(6)を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この物語には3人の主要人物がいて、若手作家の中野君と、その友人の高柳君と、文芸誌を編纂している白井先生が登場します。
 高柳君はむかし、悪友たちにそそのかされ、白井先生に嫌がらせをして学校から追い出してしまった。だいぶ古い話なのですが、高柳君はそのことを真面目に謝罪したいが、そう明言する勇気が無い。ところが白井先生はそういう過去をほとんどまったく気にしておらず、いま目の前にある生活と創作のほうに苦労があって、そこに意識が向いている。
 キリストや孔子だけが苦に直面しているわけではなく、近代文学者は受苦の中で生きるしか無い。それから後半の白井先生の冗談みたいなはなしが印象に残りました。ところで作中によく出てくる江湖というのは、辞書によると「世の中。世間。一般社会」という意味があって、ほかの意味あいとしては「隠者の住む地」(デジタル大辞泉より)というので、この両方を意図して「江湖雑誌」と記しているようです。

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歴史の流れの中の図書館 中井正一

 今日は、中井正一の「歴史の流れの中の図書館」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 日本の集団の動き方の問題点について、第二次大戦時の軍事や科学研究を、日米で比較しながら、中井正一が考察しています。
 そこから図書館のしくみが3つある、という話に展開します。まずいちばん古い図書館は、博物館の蔵のように、保存することを中心とした図書館で、これは人々に公開されていない。本を秘宝のように扱っている奇妙な施設のことです。2つめは本を持ち寄ってバザールのように人が出入りして活発に本を貸し出す、生きた図書館について語っています。そして20世紀中盤の、3つめの新しい図書館というのが、インフォメーションセンターとしての図書館で、これはいわば今で言うとwikipediaみたいに情報を整頓し上手く情報を流通させる機能を持っている組織のことを言っているようです。前半に指摘していた、日本の集団が陥りがちな機能不全についての問題提議が、半世紀後に読んでもなんだかすごい指摘に思います。 このエッセーの後半に記されている平和な集団の存在感が、読んでいて印象に残りました。
  

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容貌 太宰治

 今日は、太宰治の「容貌」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはほんの一頁だけの掌編で、自分の顔についてみょうに気になっている男にたいして、とつぜん話しかけてくる少女の話なのですが、太宰治の書きたかったのはこういう人間性だったのでは、と思いました。はっきりとものを言ってずいぶんおもしろいことをいう女の子でした……。
  

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晶子詩篇全集拾遺(63)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(63)を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は七十歳になった徳富蘇峰の古希を祝う詩でした。それからもうひとつの 「衣通姫そとおりひめ」というのが不思議な詩で、古事記に記されている伝説をちょっと調べてみますと、あまりに美しいため衣を透過して光りかがやくような女性だったそうです。軽大娘皇女かるのおおいらつめという名前の女性で、あまりに美しいのである過ちにおちいって流罪となったのでした。そのうつくしき罪の場面にぐうぜん存在していた、蜘蛛の糸のことを、与謝野晶子が描きだしている。なんだかとても古典的な題材で、すてきな詩でした。
 

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インド小景 菊池智子

 今日は、菊池智子の「インド小景」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは、インド文学の翻訳家である菊池智子さんから原稿をいただいた、現代随筆です。インドの暮らしや、インドに於けるコロナ問題を描きだしています。イチオシです。下記リンクから全文読めます。ご覧ください。

◎ 目次
 一 インドは多言語
 二 漂着
 三 やっぱりやさしいインド人
 四 警官
 五 和食とインド料理 
 六 トランプ禁止
 七 おじぎが変です
 八 そうかなあ
 九 善意の公害
 十 物売りの少年
 十一 ウィルスと疎外感
 十二 インドのコロナ禍
 十三 雀も少なくなりました
 

0000 - インド小景 菊池智子

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明かりの本では、新作小説やエッセーや、古典の翻訳作品など、オリジナル原稿を募集しています。
くわしくはこちら。

トンカトントンカッタカッタ 今野大力

 今日は、今野大力の「トンカトントンカッタカッタ」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 題名を見て、太宰治の「トカトントン」を真似たのだろうか? と思って初出を見ると、「トンカトントンカッタカッタ」のほうが数十年以上まえに記されていました。太宰治はサンプリングのプロだから、今野大力の作品も読んでいて着想を得たのかも、しんない、と思いました。ふつう、真似まねる、まねぶというと、上意下達であって、上から下へゆきそうなもんですが、どうも芸術ではそうじゃないところが多いと思いました。むしろ下意上達みたいなところが芸術にはありそうに、おもいました。(太宰治が今野大力の本作を知らない可能性も充分あるんですが)
 終盤に古参の老いた女工が素描されます。今野大力は心理描写を排し様相によって人間を描きだしていて、この外面の描写がかえって危うい労働をして生きる人々の心持ちを表出しているように思いました。
 

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