渡り鳥 太宰治

 今日は、太宰治の「渡り鳥」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは太宰治そっくりな作家が、あまり見覚えの無い青年と一緒に横丁の飲み屋で気持ちよさそうにくだを巻くという、短編小説なんですが、太宰治の二枚舌の軽妙さに痺れる作品に思いました。作中で思ってることの記載と、喋っている箇所とが、なんだかまったく違って二面性があるんです。「趣味というものは、むずかしいものでしてね。千の嫌悪から一つの趣味が生れるんです。趣味の無いやつには、だから嫌悪も無いんです。」……という一文が妙に記憶に残りました。
   

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お金とピストル 夢野久作

 今日は、夢野久作の「お金とピストル」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはほんの1ページくらいの掌編の小説です。夢野久作の作品をいくつか読んでみたのですが、ふつうありえないような転調をするのが特徴なのでは、と思いました……。起承転結で言うところの「転」が色濃い作品に思います。バイロンが言ったという「現実は小説よりも奇なり」という言葉を連想させるような物語でした。
  

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霜夜 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「霜夜」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 芥川龍之介といえば中国の説話を近代的に描き直した作品が代表作だと思いますし、私小説っぽいものはあまり書かなかったと思うんですが、今回の小説は、ある夜の個人的な時間を描きだした、私小説にしかみえない掌編でした。妻と伯母の声が聞こえる。窓の外は静まりかえっていて、霜夜である。
 九条良経の「きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」を題材にした掌編なのでは、と思いました。
 

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あとの祭り 山之口貘

 今日は、山之口貘の「あとの祭り」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 井戸端会議というと、会社でも学校でもよく生じることだと思うんですが、これは本物の井戸端での近所づきあいからはじまる、自分の生活を描きだした私小説です。狭い家の中で女房子どもが暮らしている中ではなかなか原稿が書けず、子どもたちを寝かしつけてからやっと夜に創作の仕事を始められる。ヘトヘトになって眠ると、ある日「ぼく」は突然、起こされてしまう。どうも泥棒が入ったようなんです。どうも深夜にどしん、という音が聞こえた。また夫がうなされて足をばたつかせたのかと思ったら、それがどうも泥棒の足音だったようです……。
 

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追記  漱石の「門」を想起させる話しでした。漱石は奇妙な泥棒の挿話を書いたんですが、じつはじっさいに漱石は明治38年の春ごろに、ほんとに泥棒に入られて服をいろいろ盗まれたことがあったんだそうです。

かすかな声 太宰治

 今日は、太宰治の「かすかな声」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは物語をあまたに描いた太宰治にしてはめずらしく、話のスジがほとんどない、散文詩のような短編でした。乱雑に並べた名言集のような、展開がなく、オチのない作品なんですが、このような掌編であってもやはり太宰治の独特な個性が表れているのが不思議に思いました。

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面会 織田作之助

 今日は、織田作之助の「面会」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは……1940年の夏に発表された作品で、召集された友人のことを書いている、戦争ものの掌編でした。1945年の敗戦間近の新聞雑誌の半分以上は、戦争の記載に費やされていたように思います。
 織田作之助は1941年に「青春の逆説」で発禁処分を受けているのですが、風俗壊乱という理由で発禁になったそうです。 「面会」は、漱石が「草枕」の終盤で描いた、出征する男を連想させる短編でした。
 

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