おかしいまちがい 小川未明

 今日は、小川未明の「おかしいまちがい」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 近代文学の魅力のひとつに、貧乏の描写がすごい、というのがあると思います。こんな記述があります。

   よるてらえんしたにガタガタとさむさにふるえながら、たこともあります。
 
 旅をして、危険な貧乏におちいる男が書かれています。本文と関係ないんですけど漱石はイギリスに留学して、そこでなんだかおかしくなってしまったらしく、その留学を終えてからすぐに処女作を書きはじめたという実話があるらしいのですけど、旅をすると、違う世界が見えるだけじゃなくって、ちがう自分というのが現れてくるんじゃなかろうか、と思いました。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 

夜行巡査 泉鏡花

 今日は、泉鏡花の「夜行巡査」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 泉鏡花といえば、流麗な文体で日本ならではの幻想を描く作家だと思うのですが、この代表作はまた赴きが異なっていて、江戸の心中ものというか人情もの、人情本の雰囲気がある、近代文学です。
 八田巡査という若い男と、お香という女と、老夫。この3人が主要な登場人物です。
 オチに心中文学や記事に対する、泉鏡花による短い批評が記されているように思ったんですけれども、作家の物語論が感じられて興味深かったです。
 

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追記
ちょっと今日は風邪をひいていて、何を読んでいるのか自分でよくわかりません……。

幸福 島崎藤村

 今日は、島崎藤村の「幸福」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 島崎藤村と言えば静謐な詩集と、重厚な長編文学を書いた作家だ、というイメージなんですが、今回のは完全に幼子向けの童話です。ちょっと星新一か小川未明みたいな気配のするショートショートです。
 禍福かふくはあざなえる縄のごとし、という諺を思い出しました。幸福にしかみえない人にも、なんだか不幸なことが、あるのだろうか、とか思いました。
 

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トカトントン 太宰治

 今日は、太宰治の「トカトントン」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦後に太宰は小説で、このように記しています。

  何か物事に感激し、奮い立とうとすると、どこからとも無く、幽かに、トカトントンとあの金槌の音が聞えて来て、とたんに私はきょろりとなり、眼前の風景がまるでもう一変してしまって、映写がふっと中絶してあとにはただ純白のスクリンだけが残り、それをまじまじと眺めているような…………
 
 戦争の危機が去ったあとに無気力にさいなまれていた主人公に対する、親戚の発言に、こういうのがあるんです。「お前は頭が悪いくせに、むずかしい本を読むからそうなる。俺やお前のように、頭の悪い男は、むずかしい事を考えないようにするのがいいのだ」
 中盤で絵画や音楽の話しが挿入されるんですけれども、それがじつにみごとで……。それから泉鏡花の「歌行燈」のことも記していました。こんど読んでみようと思います。
 それから政治に関する複雑な描写があるのですが、太宰治の経歴をwikipediaで読んでいると、15年戦争のはじまるころに、左翼運動をしてこれに挫折している。野間宏が描いた大長編の『青年の環』に登場する、特高に狙われた左翼青年のような人生があったようだ、というのを知りました。
 

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台風19号で被害にあわれた皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
少額ですが、こちらのサイトから募金させていただきました。
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