知らない人 太宰治

 今日は、太宰治の「知らない人」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 病床で偶然に読んだ、追悼記のいくつかについて太宰治が記しています。最後の一文が奇妙で、意味内容を知りたいと思ったのですが、この作中で語られている人物について調べてみると、1938年のバイアス湾上陸作戦に従軍している。1939年5月11日、日本史上でも有数の失策と言われるノモンハン事件が起きている。この先の六年間がもっとも小説家にとってつらい、特高と発禁と貧困と空爆の時代です。そういう時代に太宰治が小説を書いていました。この数十年ほど前に正岡子規も従軍したすぐあとに体調を崩して『病牀六尺』を記してゆくようになったのですが、どうも作中のK君も従軍後の病に苦しんだようなんです。この随筆のはじめに、新聞広告に載っている「高價の藥品」を試してみた太宰治なんですけれども、最新の薬が効くというのはどうもウソですねえということを太宰治が冗談のように描いている。そうして終盤に、K君のように優れた人間的な人物が死んだ理由を太宰治が知るんです。さいごに奇跡について太宰治は記しているのですけれども、なんだかものごとの必然について暗喩しているように思いました。
 

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容貌 太宰治

 今日は、太宰治の「容貌」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはほんの一頁だけの掌編で、自分の顔についてみょうに気になっている男にたいして、とつぜん話しかけてくる少女の話なのですが、太宰治の書きたかったのはこういう人間性だったのでは、と思いました。はっきりとものを言ってずいぶんおもしろいことをいう女の子でした……。
  

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撞球室の七人 橋本五郎

 今日は、橋本五郎の「撞球室の七人」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ビリヤード中に奇妙な事件が起きる。多くの客が近くで見ていたのにもかかわらず、いったいどういう事件だったのかが、わからない。凶器もおおよそは判定できているのに、いったいだれが犯人なのかが分からない。読んでいて、事件なのではなく事故なのかもしれない……と予想しつつ、この事件の被害者の動きを自分なりに検証してみて読みすすめたんですが、どうもやはり犯人がいるようで、ここからは完全にネタバレなので、未読の方は読み飛ばしてください。
 曲芸師の男が、どうもナイフ投げの技で犯行を行ったようである。ところが、凶器が見つからない。そこで気がついたのに、現場にいた「ゲーム取り」の少女が、なにかを真剣に思いつめていて、みなが事件に目を奪われている時に一人だけ不思議な動きをしていたことに、「私」は気がついた……。だが「私」は彼女を見逃したのでした。「子供らしいおびえた様で警官の様子ばかりを眺めていた」彼女の未来のことを思うと、真相は暴かずにおく、という判断をした様子でした……。

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乗合自動車 川田功

 今日は、川田功の「乗合自動車」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは掏摸と刑事のはなしです。掏摸のものの考えがなんだか下品というか生々しく、その犯罪心理に興味を引かれました。ライバルの掏摸のことを思いだしつつ、刑事が見張っているところで悪事をなそうと夢中になる、罪のなすりつけをする……。どうもこう、最近思うことは、近代文学にはよく勧善懲悪か、その逆を行くユーモアというのが描かれています。文学においてはこれが重大な魅力になっていると思いました。
 

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朝のヨット 山川方夫

 今日は、山川方夫の「朝のヨット」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 居なくなった少年をめぐる掌編小説です。奇妙に洒脱な文体が印象に残りました。
 むつかしい言葉を調べてみました。
 舫綱
 

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小犬 鈴木三重吉

 今日は、鈴木三重吉の「小犬」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この童話の主人公であるおばあさんは、泥棒に入られたあとに、番犬として犬を飼いたいと思っていたんです。ところが犬を飼うのにはたくさんのお金が必要で、困ってしまって、犬を捨てることにしてしまった。童話に対して、現代法律と照らし合わせてツッコミを入れるというのはとにかく非文学的だと思うんですけど、今の時代は、ペットを捨てたり害を与えたりするのは違法なんです。おばあさんは、小犬を無碍に捨てるのは忍びなく、奇妙なことになってゆく……。作中に登場する「犬の捨て場」という表記を読んで、現代ではこの問題はいったいどのようになっているのか調べてみると、ほんの10年前と今とで、ずいぶん状況は変わっていると知りました。2010年と2020年で比較してみて、動物愛護管理法による殺処分もかなり減って十分の一以下になっているようです。犬と人間との関係性もほんの短い期間で、ずいぶん変化している。
 いまと百年前とでは法律も違うし、体格も違うし、どうも犬の生き方もぜんぜんちがう。ぼくは古くさい性格の犬をずいぶん昔に飼っていたんですけど、飼い主に対して咆えつづけて突撃してきて怪我寸前の悪さをするとか、お腹が空いたらもうとんでもなく騒ぐとか、散歩をしていてもぜったいに並んで歩こうとしないで綱引き合戦をえんえんやっているとか、大事なマンガをグチャグチャにかみ散らかして嬉しそうにシッポをふっているとか、強そうな植木職人にはしっぽを巻いて逃げるとか、番犬とか愛玩という言葉とは、まったく関係ない犬の人生を歩んでいたのを、思いだしました。
   

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