鎖工場 大杉栄

 今日は、大杉栄の「鎖工場」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 大杉栄というと無政府主義者の思想家だと思うんですけど、その大杉栄が純粋な短編小説を書いています。夢十夜かと思うような、謎めいた不条理小説を書いています。自由の逆側の事態について、異様な筆致で書いていて近代SF小説のような格好良さに魅了されました。本文こうです。
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 俺はへーゲルの言葉を思い出した。「現実するもののいっさいは道理あるものである。道理あるもののいっさいは現実するものである。」quomark end - 鎖工場 大杉栄
 

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音について 太宰治

 今日は、太宰治の「音について」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 「トカトントン」で有名な太宰治が、音について記している随筆です。なにかしらの印象が、音として現れる……。また雑音や生活音について記していて、最後の一行で奇妙なことを述べていました。ぼくが思ったのは、ダンテの神曲には生活の気配がまったくなかった、ということで、そうではないところの文学性について論じていました。
  

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死ね! 豊島与志雄

 今日は、豊島与志雄の「死ね!」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議な短編小説で、題名と内容がどうも一致しない作品で……仕事と貧困と借金と創作の話しでした。『道化役』という短編集の最終話の1つ手前に掲載された掌編がこの作品なのです。作中の「彼」は作家なんです。「微笑」あるいは「卑怯」という記載があってもしかすると、太宰治について思案しながら書いたのかもしれないと思いながら読みました。
 今日のことはもう全部やめにして数日間は眠りたい、というのと永遠に眠りたい、というのはかなり違うわけで、この永劫といったん、というののそうとうな違いをどう考えたらいいだろうか、と思いながら読んでいたのですが、終盤で記される「社会の制度が重すぎるのではないか」という記載が印象に残りました。「自然にまかせるということ」というあたりの記載で、ガンジーの「明日死ぬかのように生きなさい。 永遠に生きるつもりで学びなさい」という言葉を思いだしました。さいごの一文がすてきでした。
   

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追記  「彼」の「真面目な仕事」という文章あたりから読み応えがありました。本文と関係が無いんですけれども、大戦中に最前線にいたウィトゲンシュタインの、従軍中の日記に「仕事をした」という記載があるんです。それは兵役や義務や雑用や労働とまったく関係が無い、哲学の思索を深め、のちのち出版するための本について、手帳にその小片を記載することができたことを意味している言葉なのでした。

烈日 若杉鳥子

 今日は、若杉鳥子の「烈日」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 道ばたで妙に大きな声が聞こえてそちらを見ると、牛が大きな荷物をひいている。牛方が、牛に動け動けと叫んでいるのでした。ところが牛は大声にも動じることなく、ゆるゆると休んでいる。牛方はさかんに怒号を発しているのでした。
 アジテーションするような話法、というのにぼくは引っぱられやすく、そういう言葉についうっかり夢中になってしまうので、この短編もなにか興味深く読みました。ドストエフスキーやポーの作品にもそういう扇情的なところはあるように思います。とくになにもない場面のはずのところを、主人公「私」は「!」という感嘆符つきで、自身の感情を吐露しています。
 養子にだすつもりでいる母親の赤ん坊、の短編も記されていました。赤ん坊の快活な動きと、養子という考え方から、桃太郎をもらいうけたおばあさんの心もちを連想するところが魅力的でした。漱石も堀辰雄も養子だったわけですけれども、竹取物語や桃太郎などの昔話にも、親の側からするとこの養子という概念があるのでは、と思いました。赤ん坊が抱える不幸についても見逃さずに記しており、心情を吐露する近代作家の特徴的なところが印象に残りました。
 

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八の字山 土田耕平

 今日は、土田耕平の「八の字山」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは……親子で自然界をちょっと旅する、ごく普通のとくになにも起きない童話でした。
 

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追記 土を耕して田んぼを平和にする……というような名前の土田耕平は、童話をあまたに書いた作家だそうです。本文とまったく関係が無いんですが、四国には三角形のおにぎり型の山が多く、長野には万里の長城みたいな山脈の尾根が目立つように思います。
 

新しい歌の味ひ 石川啄木

 今日は、石川啄木の「新しい歌の味ひ」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 はじめに記される「哀果」というのは文学者の土岐善麿の筆名だそうです。
 ぼくは詩がまったく書けない人間なので、詩人の書いた随筆や小説がどうも特別なものに思えて好きで、一般的な小説の構文とちがう方法が存在するとそれが宝珠のように思えてくるんです。
 この掌編は、いっけん啄木の私生活を描いたように記されているのですが、主語が妙で、「男」だったり「彼」というように記されていてどうも啄木ではないかのように描かれます。
 主題もすこし妙で「新しい歌の味ひ」と書いておきながら、歌のことについてはとくになにも述べていないんです。内容としては「北歐羅巴の大國の新しい物語の本」を一晩でいっき読みしてその長編小説の魅力について記しています。
 題名は「新しい歌の味ひ」です。その味わいについては記されていないんです。歌についても記されていないんです。上手いこと対象物がすり抜けているといえば良いのか、観察対象の透明化が成されています。不思議な作品に思いました。

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追記
石川啄木の、wikipediaのページがとほうもなく長大で、日本人は啄木が好きなんだなあと思いました。