郵便さん 槇村浩

 今日は、槇村浩の「郵便さん」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 貨物自動車が実用化されていなくて飛脚がまだあった時代の、郵便屋さんの仕事のことを、児童向けの詩歌にした掌編です。動きと言葉の響きがかわいい詩でした。これは園児が声に出して読むための詩なのかなと思います。
 

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仙人 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「仙人」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 芥川龍之介と言えば、短編小説の妙手だと思うんですが、今回はそれよりも3倍は短い、ほとんど1ページくらいしかない、超短編というか掌編小説になっていました。読んでみると、まさに芥川の名作とならぶような、文学作品のように思いました。芥川作品にしてはかなり短い小説です。
 琵琶湖のちかくで裁判官をしている「仙人」は、趣味で瓢箪をたくさん集めていて、家には山ほど瓢箪があるのでした。仙人はある日、転勤となって、琵琶湖沿いの別の場所に引越をすることになった。200個ほどの瓢箪をどうやっても運ぶことが出来ない。しかたがないので、全ての瓢箪をくくりあわせて琵琶湖の上に浮かべて、小さな舟にしてみた。それから……。終盤のところで、氏の死生観が立ち現れる作品に思いました。
 

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追記  あまたの瓢箪を集めた「仙人」が、さいごには遺品の瓢箪をいろんなところに持ってゆかれたけれども、なにかこう、「仙人」の意識とか行為とか関係性が、没後に薄まりつつ、低く流れていって広まってゆくような気配を漂わせる、奇妙な光景が描きだされていました。

希望 小川未明

 震災で被害にあわれた方々に、謹んでお見舞い申し上げます。『yahoo!ネット募金の災害・復興支援』ページにて、ミャンマーへの募金活動が開始されるもようです。詳しくは検索サイトで『yahoo!募金 復興支援』と検索を。

 今日は、小川未明の「希望」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは幻想的な海辺と空が描きだされるところから始まる童話で、美しい幻想が現実に肉迫してゆき、主人公の青年が不思議なものを目の当たりにする、児童文学の掌編でした。
 

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追記  なんだか不気味な黒い箱が現れて、これに冥界の気配を感じとり、箱を手にすることを辞める青年が描かれるのです。惑いから寂滅為楽へと転じてゆく青年のことを描いたのかなあ、と思いました。かつてはこれを小学生が読んでいたようなのですが。いろは歌の謎解きみたような、奇妙な童話でした。

事前に集めて電子書籍化しておいた本がなぜか怪談だらけで、ここ10日くらい暗い作品ばっかりになってしまって、どうもすみません。

女 久坂葉子

 今日は、久坂葉子の「女」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはサスペンス調の掌編小説で、アナンという女が、五通の手紙を持って、謎めいた行動をして帰ってくる場面が描かれます。「女」は自らの子を失っていたという過去があります。終盤に「女」がなにを行っていたかの種明かしがされる、なんだか昭和初期のモノクロ映画の脚本みたような、劇的で暗い作風が印象に残る小説でした。
 

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奇怪な客 正宗白鳥

 今日は、正宗白鳥の「奇怪な客」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 顔も見せないし、名前も名乗らない奇怪な客がある宿屋にやって来て、いちばん良い部屋に泊まってしまった。
 ほとんど新品のチョッキや服を屑籠に放り込んだり、なんとも解せないことをする、客なのでした。
 

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追記  一週間も泊まり込んで、金払いだけは良いのだが、宿主としては、あまりにも不気味なのでそろそろおいとましてほしいので「泊める、泊めない」という押し問答になってしまう。
 事情を聴くと、煩わされずに顔を隠して泊まりたいのだという。しかも男かと思ったら、お金持ちのご婦人だった。なにか家の事情があって、一人でホテルに長居しているらしい。物語の起承転結は無い、そのまま終わる話なんですが、奇怪な客とはまた異なる、いくつかの異様な事情が明記されてゆくのが興味深い小説でした。

 

餅 岡本かの子

 今日は、岡本かの子の「餅」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 妻と夫の2人で、婚約したころの出来事をお正月に語りあう掌編小説でした。
 料理の技巧が稚拙だったところにかえって魅力を感じた、というのが話しの中心にありました。
 

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追記 とくになにも起きない静かな作品なんですが、懸詞のように言葉が積み重ねられていて韻律が整っているというのか、知的な文体の小説に思いました。