市井喧争 太宰治

 今日は、太宰治の「市井喧争」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは太宰治の、日々の暮らしの中で起きたちょっとした諍いのことを書いていて、押し売りに薔薇を買わされたけれども、あまりにも高すぎる値段で「私自身の卑屈な弱さから、断り切れず四円まきあげられ、あとでたいへん不愉快な思いをした」ということの顛末を描きだした小説です。太宰治は事実っぽく架空の話を書くことが多いので、どこまで事実の描写なのか分からないのですが、作中の「嘘」と「偽物」という言葉の置き方がなんだか美しいというのか、妙に印象に残る掌編小説でした。農民ではないのに農民という嘘を言った、と太宰治は考えつつ、近くに住む農家の女性だったら、ちょっと高くても薔薇を買ってあげたいと思った、ようなんです。
 

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追記  作中に記された「贋百姓の有様を小説に書いて」というのは翌年の1940年に発表された『善蔵を思う』という別の短編小説にて描かれています。
 

石窟 田山録弥

 今日は、田山録弥の「石窟」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 田山録弥というのは田山花袋のことで、これはほんの数ページの小説です。画家と作家の2人が登山をしています。山奥のほら穴のなかに、無数の仏像が隠されていたのを偶然にも発見する場面が描かれます。
 

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追記  山奥の巨大な岩をくり抜いて洞穴を作り、そこに大量の仏像を彫った人間の仕事をまのあたりにして衝撃を受ける、画家と作家なのでした。千年以上前につくられた彫像の群に圧倒されるのでした。2人はこの千数百年前の無名の仏師の、たいへんな仕事に震えあがり思わず落涙します。帰路につきながらも、呆然とし続けたのでした。 
  

草の中 横光利一

 今日は、横光利一の「草の中」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 横光利一の純文学を読んでみました。原稿用紙換算でほんの8頁の掌編ですが、3つの不在について記された静謐な文学作品でした。
 僧侶がおらず、誰も住んでいない寺を借りた男の物語で、幼い病者と孤独なKのことが記されてゆきます。杜甫の『春望』を想起させる短編でした。
 

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若返り薬 夢野久作

 今日は、夢野久作の「若返り薬」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回の童話は、夢野久作の独特さがよく現れている作品で、幼子向けの作品なのでちょっと荒唐無稽な場面もあるのですが、勧善懲悪が過剰になって世界が捲りかえるさまが描きだされ、悪夢の変転する様相がみごとな短編でした。こんな怪作をつくるのは夢野久作だけなのでは、と思う暗黒の童話でした。
 

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追記  恐怖を好んで描いた夢野久作は、なぜだか、童話を好んで描いたんです。読んでみるとたいてい、親と子というのがクローズアップされています。童話も、大人が幼子に読み聞かせるもので、この親子間の謎めいた関係性に、夢野久作は圧倒的なこだわりがあるようなのです。そういえば日本三大奇書の「ドグラ・マグラ」も父親によって病棟に閉じ込められた男と、それから胎児が中心的に描かれていました。

新郎 太宰治

 今日は、太宰治の「新郎」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 太宰治は自身を主人公にして短編を描くことが多い作家だと思うのですが、今回は作中に自己の名である「太宰治」と明記しているのですが、その太宰治は、なぜだか学校の先生をしているのでした。現実の太宰治は先生をしていなくて、それから新聞社への就職に失敗をして、大学も授業に出ておらず卒業に失敗しており、戦中戦後すぐの当時の原稿料は少なかった、というように思います。作中で、家族と仲睦まじく食事をする場面で、食料不足におちいっている世相が描きだされます。
太宰治はこう書いていました。「まずしいものを褒めるのは、いい気持だ。」
 存在しない学校に通って、居ないはずの教え子と話しあい、「古風な馬車」を三鷹駅で見かけてこれに乗って、遠い銀座までゆくことを夢想する、太宰治の短編小説でした。
 

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快走 岡本かの子

 今日は、岡本かの子の「快走」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはごく短い作品なんですが、戦時体制下の家族の暮らしと、詩的な心象の両面が見えてくる、近代小説でした。風景の描写が念入りで、とかく美しいように思います。道子は日々の暮らしの中で、あるアイディアを思いついてそれに夢中になるのでした。「ほんとうに溌剌はつらつと活きている感じがする」という一文が印象に残る、道子と家族の物語でした。
 

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