かたい大きな手 小川未明

 今日は、小川未明の「かたい大きな手」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは人魚や胡蝶のあやかしを描いてきた童話作家の、戦後の様相を描く、実話っぽい作品です。小川未明と言えば幻想的な異変が起きる物語を描くと思うんですが、今回はごく普通の家族の様相を描きだしていました。敗戦後の食糧難のころの、人々の姿が描きだされます。銭湯とお金とぬすびとの話でした。戦後すぐにはこの本が読まれたんだ、と思いました。
 

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三つの挿話 神西清

 今日は、神西清の「三つの挿話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議な話で、遠い世界の話は真相が見えにくい、というのと、伝聞の伝聞は謎めいているというのと……なんだか百年前の海外版遠野物語のように思いました。百年前のロシアや日本が描かれています。ホラ話や奇妙な話を、信じるのか信じないのかということが、なかなか判別できないところ、終盤でこれは事実だろうという細部の描写があって、これは信じられる話なんです。ささいな行動を観察するようすに説得力があって、この掌編の印象が変わるのがすてきでした。人の暮らしぶりをよく見て精査できている人というのは敵陣であっても味方であっても、なんだか信用がおける気がするんです……。
 

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体格検査 小酒井不木

 今日は、小酒井不木の「体格検査」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ある小説家が、藤岡といういっけん屈強に見える男と雑談をしていて、藤岡さんが陸軍学校を不合格になった顛末を語るという、短編です。「人間万事塞翁が馬」にかんして実体験的に語る藤岡なんですけれども、文中では「まったく世の中は、何が幸福になるかわかりません」と記しています。その軍隊には奇妙なルールというのがあって、それによって不採用となった。考えてみれば、採用されずに幸運だったように思います。異様なルールがあるからには、苦が増すルールも何処かに潜んでいる可能性も高い。冗談のように記していて、笑えるような、笑えないような、妙な短編でした。みじめなことがらがかえって幸運をもたらすとか、そういう方向性の、ちょっとした小話でした。
 

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最初の苦悩 フランツ・カフカ

 今日は、フランツ・カフカの「最初の苦悩」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 カフカは子どものころにサーカスの曲芸を見て、いろんなことを空想したんだろうなと思う短編小説でした。
 カフカの『城』でも印象深かったのですが、とにかくただ一つの方針だけに徹することになってしまっている人間の姿、というのをカフカはなぜか描くことがあると思います。ブランコ乗りの曲芸師がもうずーっとブランコの上で訓練を積み重ねて高いところで暮らしている。ブランコから下に降りることがほとんどまったく無い。
 ひとつのことに特化して一本化された状態を継続させる、奇妙な生き方……。現代的な内容に思いました。「最初の苦悩」という言葉をどういうようにカフカが描きだすのか、終盤の1行がみごとなんです。不思議な構成の小説でした。
   

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僕の帽子のお話 有島武郎

 今日は、有島武郎の「僕の帽子のお話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 有島武郎の代表作を読まずに、偶然これを読んでしまったのですが、これは、小学生の主人公「ぼく」のたいせつにしている帽子が、なんだかコロコロ転がって妙なことがつぎつぎに起きてゆく、奇妙な夢魔の物語です。最初のところの、少年の不思議な世界観と、こどものころによくあった「無くなるはずのないものがこつぜんと消えてしまう。モノが不思議とどこかに行ってしまう」という感覚がおもしろかったです。大人になると、モノが消えるのはただの不注意だなと思うんですけど、子どもの頃はなにか不思議な力が働いたのではと夢想するわけで、それがどんどん進んでいくのがユーモラスな物語でした。
 

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Dream Tales 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「Dream Tales」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはどうも、夜に見る夢をそのまま書き記していった、3つの小品のようです。ほんの3頁の掌編です。夢の中に現れて、暖かな手をさしだしてくる女性の描写が印象的でした。
  

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