MENSURA ZOILI 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「MENSURA ZOILI」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これなんだかおもしろい小説でした。中二病っぽいというか、そういう現代作品の起源となったものは、ゲーテや芥川龍之介といった幻想的な文学作品だと思うんです。
 事実と虚構を上手く混交させた小説が好きなんですけど、この短編では不思議な言葉が記されています。ゾイリア共和国とか、文学作品の歴史的価値を判定する機械だとか、『煙管』という近代小説とか。すべて存在しないものなんですけれども……。ぼくは、なにか知らない言葉があったらとにかくグーグルで検索することにしているんですけど、じつはグーグルも架空の言葉をあたかも存在しているかのように間違えて並べてしまうんですよ。たとえばwindows12・・という言葉を検索すると、そんなものは存在しないのに、あたかも存在するかのようにサイトがずらっと並んでしまって、うっかりしていると「12」が存在するのかしないのか、判別できなかったりするんです。蛇足なんですけど、この場合はwikipediaで『windows12』と検索すると正誤が判明します……。

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晶子詩篇全集拾遺(40)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(40)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は大正9年(1920年)ごろの政治批判の詩でした。与謝野晶子は原敬時代の政友会に対して否定的で、それを直接、書いています。こういう詩がありえるのかと、おどろきました。与謝野晶子がこの詩を書いたおそらく数年後の、原敬の最後をwikipediaで読んでいて、近現代史にたいする印象が変わりました。与謝野晶子はこの事件を知ってどう考え、どのように作風が変じたのかにも注目してみたいと思うんです。大逆事件からたったの十年たったころに、あらゆる詩歌を書いて、長く生きた与謝野晶子は当時なにを書いていったのか、随筆や詩や日記をもっとちゃんと読んでみたい……と思いました。
  

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金持ちと鶏 小川未明

 今日は、小川未明の「金持ちと鶏」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この童話は、典型的な事態を描いていて分かりやすい話しなんですけれども、読み終えてから考えてみると、なんだかむつかしいことを書いているように思いました。現代ではお金持ちよりも、時間がありあまっている人に、作中にあるようなまずいことが起きてしまいがちなように思います。エスカレーションするものごとというのは現代にも現実にもよく起きていることで……。なんだか老子の「足るを知る者は富む」を連想しました。wikipediaにちょっと老子の現代語訳が載っていました。こんど老子の本も再読してみたいと思います。
 

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女生徒 太宰治

 今日は、太宰治の「女生徒」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 主人公が朝めざめるところからはじまって、夜に眠るところで終わる物語で、学校帰りの「とうとう道傍の草原に、ペタリと坐ってしまった」とこから帰宅した家の中の描写が印象に残りました。ぼくは「新ちゃん」のことが語られはじめたところから、太宰治の物語世界に惹き付けられました。
 昼すぎから夜になって星が見えるようになってくるにしたがって、神秘的な童話、のような感性にかたむいてゆくのが美しい物語展開に思いました。
 けっこう謎めいた箇所があって「きっと、誰かが間違っている。わるいのは」……という箇所の「あなた」という言葉の示している先が、どうも作中にひとつも存在していなかったりするんです。「世間というのは、君じゃないか」という一文が太宰治の文学の中でとても有名だと思うんですけど、こんかいの作中に四回しるされている「あなた」を巡ることばの示しているものの先の存在感が、なんとも不思議で、終盤が魅力的な小説でした。
 

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論語物語(10) 下村湖人

 今日は、下村湖人の「論語物語」その10を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 大廟の祭典という「最も重要な祭典」の指導者に、ついに孔子が推薦されたんです。孔子はその祭典の現場にゆくとなぜか、儀式のこまかな進行について、ほとんど誰でも知っているようなことをひとつひとつ質問し続けたんです。そのために周りに居た人びとはちょっと呆れてしまった。一番弟子の子路は孔子にたいしてもうちょっと威厳のある立振舞をしてほしいと苦言を呈しました。このとき、孔子はこういうように述べています。
quomark03 - 論語物語(10) 下村湖人
 礼は敬しみに始まって、調和に終らなければならない。然るに、今日私が皆さんにお訊ねした結果、皆さんのお気持を害したとすると、私のどこかに、礼に叶わないところがあったのかも知れない。quomark end - 論語物語(10) 下村湖人
 
 それから、今回は論語の重要な方針が記されていて『子曰く、学んで思わずば則ちくらし。思うて学ばずば則ちあやうし』ということについて論じられていました。下村湖人はこういう現代語で書いています。 
quomark03 - 論語物語(10) 下村湖人
 学問に大切なことは、学ぶことと考えることだ。学んだだけで考えないと、道理の中心が掴めない。だからいつも行き当りばったりだ。(略)むろん考えただけで学ばないのもいけない。自分の主観だけに捉われて、先人の教えを無視するのは、丁度一本橋を渡るように危いことだ。quomark end - 論語物語(10) 下村湖人
 
 孔子は「自分を誇示したい念が急なために生じた」思い、というのを問題視しているんです。それはまさに「生命の真の願いを自ら暗ますものだ。そしてそれが人間をして無知ならしめる最大の原因だ」と孔子は述べているんです。孔子にとってとても重要な弟子である子路でさえ、そういう間違った思いを抱くことがある、それを孔子が戒めていました。
 論語は、子供のために現代語に要約された児童書も多いんです。下村湖人は誰にでも読めるやさしい日本語で書いているんですけど、とくにこの箇所に対する細心の注意を払って物語を構成しているように、思いました。(そのためにちょっと野暮ったい内容になっているところがあると思うんです)
 

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★『論語物語』をはじめから最後まですべて読む(※大容量で重いです)
『論語』はこちら(※論語の原文に近い日本語訳です)

友情に関係あるエッセイ 戸坂潤

 今日は、戸坂潤の「友情に関係あるエッセイ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦時期の、非戦について論じようとしている随筆に興味があって、当時は少しでも反戦について明記すると、全文を検閲されてしまってすぐさま発禁になるし、不当に禁固刑に処されたりしたという事実があったわけで、そういう危険な時期に、なにを言えば良いのかとか、どう考えれば良いのか、というのを学べるように思うんです。おもに当たり障りの無い、時局からずらしたことを書くしか無いんですけど、それでも戦争を称揚しないように注意深かったり、あくまでも権力を持たない者の眼差しでモノを語っていたりしていて、その緊張感があって、言いがたいことを伝えようとしていて、いま読んでみると印象深い随筆になっていると思うんです。
 文芸を作れる環境はむしろ、1900年よりも1940年ごろのほうが豊かになっている。1941年に、どういうように出版が成長しつつあるかを論じています。
 あと、戦時中ならではの独特な現象を知って、現代日本がどう外国と違うのか、というのを知るのも面白いです。なぜそうなっているのか知らないんですけど、鉄道や公共交通機関で、日本人が礼儀正しく整列するのは、じつは戦時中の1940年代に出来上がった風習らしいです。くわしくは本文を読んでみてください。
quomark03 - 友情に関係あるエッセイ 戸坂潤
  チャールス・ラムは『エリヤのエッセイズ』で、「既婚者の言動についての或る独身者の嘆き」というものを説いている。quomark end - 友情に関係あるエッセイ 戸坂潤
 
という、このラムの言う、特権的な独身者にそっくりな男が居て、「産めよ、殖やせよ」という戦時の異様なスローガンがあらわれてきたころに急に結婚をした。「ラム氏の結婚」あたりのはなしがおもしろかったです。wikipediaの戸坂潤のページと同時に読むと、感慨深い随筆に思いました……。
 

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