細雪(14) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その14を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この前に行われていた縁談は、一緒に食事する場面ではとくに問題なく進行したはずなんですが、その後にあらかじめ告げられていた興信所の調査がおわって、縁談に関わっている人から、電話がかかってきた。「ええ話とは違うさかいに、喜ばんとおいてほしい」ということで、どうもこれはやはり今回も失敗の展開になるようです。今回は、いちばん雪子の面倒をみようとしている、姉の幸子の意識を中心に記されています。今回の雪子の破談の理由は、複雑な事情なので、最初のページから本文をぜんぶご覧になってください。
 家の近くで、幼子である悦子と、そのともだちのルミー(ローゼマリー)さんが遊んでいる描写がありました。
 破談になった相手のことなんですけれども、相手との年齢の釣り合いがとれていて良い感じだったり、資産家だから苦労が少なそうであったりという、いっけん良さそうな相手が、じつは別の愛人がいるとかどうも結婚に至らない理由というのがある。いちおうは事情を調べるしかないわけで、相手のことをまったく調べないで、完全に運任せの婚姻をさせるわけにもゆかない。相手は期待を脹らませるだけで失望する、ということが起きてしまう。普通に考えて、相手方の家柄が良いと安心感があるのでは、と思ってきたんですが、良い家柄を守ろうとすると、親しくなりかけた家との関係を断ち切るわけで、これで恨みが生じているというように言える……家柄が良いと、政略が必要になってしまって、かえって不自由が生じてしまうもんだと、いうのが見えてきて、なんだか富者の意外な告白を読んでいる気分でした。
 

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)

日本再建と科学 仁科芳雄

 今日は、仁科芳雄の「日本再建と科学」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 平和利用でしかない技術を徹底的に拡充するという1945年からはじまった、日本の科学と産業の発展の始まりのところの、科学者の考えが記されていました。敗戦後にものすごい経済発展を遂げた、二〇世紀中盤の日本の迫力が感じられる、奇妙な随筆でした。
 仁科氏は平和憲法に関する、20世紀後半へ向けての近未来の考察を行っていて、これが倫理的に正しいということのみならず、経済発展や国際状勢という利害関係から見ても適切な条文であるということを説いていて、五十年先のことを読み解けているのがすごいと、思いました。
  

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お守り 山川方夫

 今日は、山川方夫の「お守り」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはサスペンスものの短編小説で、倒置法の技法と似ている書きかたで、時間軸が前後しながら、犯行寸前の男の心境が語られてゆく、緊張感のある小説でした。
 ドッペルゲンガーの物語が流行する時代というのがあるように思うんです。集合住宅が盛んになる時代とか、インターネットが未整備の時代とか……。戦前の近代小説にもこれの流行する時代というのがあったのでは、と思いました。これは戦後の作品だからなのか、哲学的な問題の描かれた、すてきな小説でした。
 

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追記   終盤では、悪の劣化コピーにならないためにはどうしたらいいのか……という問題が生じています。ちがうものなのに似たようなものだと……誤認させてくるのが振り込め詐欺師や不審者の行うことがらで、似ているようでじつはかなりの違いがあることを分からせるのが平和で文化的なものごとなのでは、とか思いました。
   部屋を間違えて入ってきてしまった隣家の男……というのはそういえば十年くらい前にぼくも経験したことがあって、優れた小説の場合、絶対にあり得ないような異変が、じつは現実にあり得そうな事態に収斂しゅうれんしてゆくことがあるなあ、と思いました。

ゲーテ詩集(34)

 今日は「ゲーテ詩集」その34を公開します。縦書き表示で読めますよ。
 今回も古典的な恋愛詩で、これを現代人が記す可能性についてはほとんどまったく考えられないなあと思う古い作品なんですが、その直情的な詩の中で「魔の紐」という詩の言葉が印象に残りました。ゲーテは恋愛が、悪魔的に危険なものであるという認識があって、これと不幸を横並びにして書くんだろうかと、思いました。
  

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ねじくり博士 幸田露伴

 今日は、幸田露伴の「ねじくり博士」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  哲学的な学者が、奇妙なことを語りつづけるという不思議な話で……博士は幼いころに、ある大発見をしたというんです。道はまっすぐなほうが使いやすいのに、どうしてねじれたクネクネの道があるのか、その謎に、博士は幼いころに挑戦したというんです。
 博士によると、天地はみんな「ねじれてる」と言うんです。宇宙全体が「ねじねじ」なんだそうです。天地は螺旋らせんでできている、犬のしっぽも、頭の毛も、たいてい螺旋でできている……。
希臘ギリシャの哲学者はまず哲学を学ぶ前に数学をやれと弟子達に教た」とか「矢は螺線になッて飛ぶから真直に行くのだよ」とか「地球も自転しながら進むのだからつまり空間に螺旋している」という発言がなんだかほんとの発言っぽいんです。
 世界にある、いろんな螺旋について語りつづけるのが、妙に過剰で文体がみごとでした。
 幸田露伴の書く博士は、輪廻転生や、自然界のカオス理論についてさまざまに語りつづけます。
 

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追記   「螺旋らせんの法則」と「法螺ほら貝」をかけた、ちょっとした落語的なオチもありました。

狂言『食道楽』 北大路魯山人

 今日は、北大路魯山人の狂言『食道楽』を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 食の道楽について、目と鼻と口と耳と手たちがいろんな議論を繰り広げるという……奇妙な短編小説なんですけど、美を探求した陶芸家の魯山人が書いているので、やっぱり食のことを目と手で、語るところが念入りに記されています。
 wikipediaと近代文学は相性が良いと思うんです。小説をwikipediaと同時に読むと面白いのは、仮想や空想の連なりの中から、どこが実感的に書かれた、事実に近いところなのか、観察したり推理したりして考察できる余地が生じて、それが魅力なのでは、と思いました。

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追記  ネットで検索をしてみると、魯山人の陶芸作品が日本の美術館でいろいろ展示されていて、観に行けるようです。