私の日常道徳 菊池寛

 今日は、菊池寛の「私の日常道徳」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 文芸と商売を両立させた……いちばんはじめの近代作家は菊池寛だと思うんですが、そのお金持ちの菊池寛が、人づきあいやお金のことを訓示っぽく書いていて、なんだかすてきな随筆でした。
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 貴君のことを誰が、こうこう言ったといって告げ口する場合、私は大抵聞き流す。人は、陰では誰の悪口でも言うし、悪口を言いながら、心では尊敬している場合もあり、その人の言った悪口だけがこちらへ伝えられてそれと同時に言った賞め言葉の伝えられない場合だって、非常に多いのだから。quomark end - 私の日常道徳 菊池寛
 
 なにかの不備については自分で発見したほうが上手くゆくわけで……不備を指摘をする必要はないという話しや、お金に関することや、他にも勉強になることがいろいろ書いてありました。
 

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細雪(23) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その23を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ずいぶん準備をしてきて、関西から東京に引っ越した、姉の鶴子と三女雪子なんですけど、この日のことを記した手紙がとどいたんです。
 しっかり計画したはずなのに、どうも家を借りることが急に取り消しになってしまって、種田さんの家にお邪魔になりつつ、大急ぎで別の家を借りることになった。このあたりの展開はどうにも1945年前後の大戦のあらゆる不都合が押しよせている時代性が、物語に反映されているのだと思いながら読みました。「知らぬ土地へ来て、名古屋側の親戚の、而も目上の人の家に厄介になっているのでは、どんなにか窮屈なことであろう。そこへ持って来て病人が出来、医者を呼んだりするのでは尚更である。」三女の雪子の部屋がまだ無い状態だったりします。雪子からの手紙はまだとどかない。雪子を愉しませようと、幸子や悦子は、歌と絵を添えた手紙を書き送るのでした。次回に続きます。

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)

散歩生活 中原中也

 今日は、中原中也の「散歩生活」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 中原中也が複雑な状況のことをほんの数行でみごとに書いていて、読んでいて見入られました。言語化しにくいことを明確に書けるのが詩人の特徴なのでは、と思います。それから日々の散歩で見た風景や、中高年ならではの行き詰まりのことを記し、文芸や学問や「なんのことだか分らない」当時の議論のことを正直に記していました。
 

0000 - 散歩生活 中原中也

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胡氏 田中貢太郎

 今日は、田中貢太郎の「胡氏」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議な伝奇で、田中貢太郎といえば怪談の名手だと思うんですが、今回のは怖さのない怪異を記していて、ちょっと日本昔話のような神秘的なもののけ譚でした。
 狐の嫁入り、というと天気雨や燐火のことをいうんですけど、十六世紀あたりの中国は河北省の直隷に、胡という男がいて、富豪のすむ家を訪れた。これが賢いので家庭教師になってもらった。ところが胡は人ではなく狐で、これを目撃した主人は、胡の求めた、娘との求婚を断ってしまう。そこから争いが起きる、狐の大群が押しよせて、奇妙なことが起きる。妖しい美しい物語でした……。
 

0000 - 胡氏 田中貢太郎

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追記  日本のお見合い結婚の歴史はじつは武将の政略結婚からはじまった、というようなことをこのまえ知ったんですが、この「胡氏」ではまさに、争いを治めるにあたって、平和な結婚を実現する、という展開がありました。みごとな奇譚でした。

ゲーテ詩集(43)

 今日は「ゲーテ詩集」その43を配信します。縦書き表示で読めますよ。
 心的なものを記しつつ会話になっているという……なんだか不思議な詩でした。本文こうです。
quomark03 - ゲーテ詩集(43)
 星は手に入れようとしたつて駄目だ
 ただその光を楽しめばよい
 さうして恍惚として眺めることだ
 窓のよく晴れ渡つた夜毎よごとquomark end - ゲーテ詩集(43)
 

0000 - ゲーテ詩集(43)

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我鬼 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「我鬼」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦国時代を勝ち残った秀吉の後半生を、大戦中に唯一被害を受けずに作家をやり通した坂口安吾が活写しています。能や茶といった文化に関心の深かった秀吉や、残酷な秀吉のことを記しています。親族の憎悪の描写が辛辣で、どうにもリアルな短編小説でした。
 秀次の描写はこうでした……「彼の心は悲しい殺気にみちてゐた。彼は武術の稽古を始めた。秀吉を殺すためのやうであつたが、襲撃にそなへ身をまもるための小さな切ない希ひであつた。出歩く彼は身辺に物々しい鉄砲組の大部隊を放さなかつた。いつ殺されるか分らない。」あとからやって来る「家康の影」に対する恐怖心の描写が印象にのこりました。秀吉の最晩年が描きだされていました。

0000 - 我鬼 坂口安吾

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