寂しき魚 室生犀星

 今日は、室生犀星の「寂しき魚」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは動物記かと思うほど魚類の生態を掘り下げながら、陸の上がどうなっているのかを夢想する魚の、心象を描いた小説です。魚の進化の過程のその途上をのぞき見ているような、みなそこから陸へと向かってゆく意識が描きだされます。老いた魚のさいごが記されてゆくのですが、沼の底から見上げる陸の世界……童話と動物記の中間が描きだされたような、奇妙な読後感の作品でした。日本近代文学は結末にたどり着く前に中絶し中座している作品が多く、ダンテ「神曲」やゲーテ「ファウスト」のように最後の最後まで書き尽くすところまでゆかず、道程の半ばまでという作品があまたにあります。そこも特徴の1つだと思うんですが、そういった文学の特性が、この作品の結末に現れているように思いました。道半ばなんですけど、目指す先があるのがなんだかすてきに思いました。
 

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