今日は、佐左木俊郎の「緑の芽」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
農民文学というとまず、宮沢賢治の「農民芸術概論綱要」が思いうかぶんですけど、近代文学の中では、佐左木俊郎がまたそれらとは異なる、農民の生き方を直接的に描きだす小説を数多く描いているんです。じっさい農民の生きざまを直接的に描いた作家と言えば、佐左木俊郎がいちばん有名なんだと思います。
農民、と言っても現代の機械を上手く使いこなす大規模農園とはまるで違っていて、ぜんぶ手作業で仕事をするしかない、機械を持たない時代の農業の物語で……つまり千年間以上、過去に何億人という日本人が(世界中の人が)こうやってほんとうに生きてきたわけで、読んでいてつねに「うわあ」と声をあげてその過酷な生き方を垣間見てゆきました。数百年前とかだったら機械が無かったわけで、テレビも無ければ、巨大輪転機も輸送トラックも無いから紙の本もふつうの人は手に取れないし、図書館も本屋も無い。ものを教えてくれるのは親族か同朋だけで、過酷な労働しか存在しない。読み終えて途方に暮れました……。父親の人徳が無かったら、こういう百年前の家の未来はいったいどうなるんだろうかとか、思いました。
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