お守り 山川方夫

 今日は、山川方夫の「お守り」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはサスペンスものの短編小説で、倒置法の技法と似ている書きかたで、時間軸が前後しながら、犯行寸前の男の心境が語られてゆく、緊張感のある小説でした。
 ドッペルゲンガーの物語が流行する時代というのがあるように思うんです。集合住宅が盛んになる時代とか、インターネットが未整備の時代とか……。戦前の近代小説にもこれの流行する時代というのがあったのでは、と思いました。これは戦後の作品だからなのか、哲学的な問題の描かれた、すてきな小説でした。
 

0000 - お守り 山川方夫

装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
追記   終盤では、悪の劣化コピーにならないためにはどうしたらいいのか……という問題が生じています。ちがうものなのに似たようなものだと……誤認させてくるのが振り込め詐欺師や不審者の行うことがらで、似ているようでじつはかなりの違いがあることを分からせるのが平和で文化的なものごとなのでは、とか思いました。
   部屋を間違えて入ってきてしまった隣家の男……というのはそういえば十年くらい前にぼくも経験したことがあって、優れた小説の場合、絶対にあり得ないような異変が、じつは現実にあり得そうな事態に収斂しゅうれんしてゆくことがあるなあ、と思いました。