今日は、豊島与志雄の「死ね!」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは不思議な短編小説で、題名と内容がどうも一致しない作品で……仕事と貧困と借金と創作の話しでした。『道化役』という短編集の最終話の1つ手前に掲載された掌編がこの作品なのです。作中の「彼」は作家なんです。「微笑」あるいは「卑怯」という記載があってもしかすると、太宰治について思案しながら書いたのかもしれないと思いながら読みました。
今日のことはもう全部やめにして数日間は眠りたい、というのと永遠に眠りたい、というのはかなり違うわけで、この永劫といったん、というののそうとうな違いをどう考えたらいいだろうか、と思いながら読んでいたのですが、終盤で記される「社会の制度が重すぎるのではないか」という記載が印象に残りました。「自然にまかせるということ」というあたりの記載で、ガンジーの「明日死ぬかのように生きなさい。 永遠に生きるつもりで学びなさい」という言葉を思いだしました。さいごの一文がすてきでした。
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追記 「彼」の「真面目な仕事」という文章あたりから読み応えがありました。本文と関係が無いんですけれども、大戦中に最前線にいたウィトゲンシュタインの、従軍中の日記に「仕事をした」という記載があるんです。それは兵役や義務や雑用や労働とまったく関係が無い、哲学の思索を深め、のちのち出版するための本について、手帳にその小片を記載することができたことを意味している言葉なのでした。