しめしあわせ エドガア・アラン・ポー

 今日は、エドガア・アラン・ポーの「しめしあわせ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 翻訳が難解なのか、あるいはポーの原作があまりに幻視的なので難読書になっているのか分からないのですが、これは内容のみならず、文体も謎めいていて、重厚な文学でした。ごく数十頁で完結する本なのですが……。作中のこの詩が印象に残ります。
 
いとしき人よ、御身おんみこそ、わが魂の
思いこがれしすべてなりき。――
いとしき人よ、渡津海わだつみの緑の小島、
愛らしき果実このみと花のまつわれる
ほこら噴泉ふきい、さてはまた
すべての花はわがものなりき。
 
(略)
 
今わが日々ひびはすべて夢幻ゆめまぼろしにして、
夜ごとの夢はことごとく、
イタリアの流れのほとり、
かろやかの舞踏おどりのうちに――
きみが灰色ののきらめくところ、
きみが足どりのひらめくところにこそあれ。
  
どうしてアフロディーテ夫人は身罷ったのか、不幸はどのようにして起きたのか、それらの符合を、いくつかの絵画を読解すると共に解き明かしてゆくのでした。
  

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