今日は、原民喜の「夢と人生」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
原民喜は被爆後しばらくのあいだ東京に暮らしていました。若いころ千葉県立船橋中学校で英語の教師をしていて、そのころの平和な日々のことを歩きながら回想しています。原子爆弾と死について記して、この被害を受けなかった妻のことを繰り返し、夢の場面と重ね合わせて描きだしていました。美しい文体が印象に残りました。本文こうです。
急に湿気を含んだ風が草の葉を靡かすと、樹木の上を雲が走って、陽は翳って行った。すると光を喪った叢の翳にキリストの磔刑の図を見るような気がした。ふと、植物園の低い柵の向に麦畑のうねりや白い路が見えた。と、その黒い垣が忽ち僕を束縛している枠のようにおもえるのだった。
今回、原民喜はボッティチェッリの「春」に描きだされた美しい顔と、自己の記憶に対する違和感について記しています。夏目漱石も「草枕」でモチーフとした「オフィーリア」の絵画世界も描きだされていました。
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