屋根裏の犯人 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「屋根裏の犯人」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 気前がよくて薬代をもらわないという、医者の妙庵先生というのがこの小説の主人公です。
 この妙庵先生のところに、貧乏性がひどい伊勢屋の使いがやって来て、風呂の煤払いをしたので、ふだんお世話になっているお礼に、ぜひお風呂に入っていってほしいという。毎年のことなのでさっそく妙庵先生は伊勢屋におじゃまする。
 なにかと貧乏性な伊勢屋は、ふだんから奇妙なことをいろいろやっている。貧乏性がひどすぎる伊勢屋は、お金のことにやっきになりすぎて逆に大損をしたりしている。この伊勢屋で起きた、屋根裏の珍事件をみて、妙庵先生はちょっと不思議なものを伊勢屋のご隠居に見せるんです。
 物語は虚実いりまじる空間なので、かえっていろんな事実に気が付かせてくれるような……なんだか粋な小説でした。
 

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追記   ここからネタバレなんですが、事件のあらましとしては、屋根裏から出てきた銀包みはおそらく、ネズミが母屋から隠居屋にひっぱっていったものだろう、と皆が言うのですが、ご隠居はネズミはそんなにものを持ち運べないと主張して、屋根裏に人間の泥棒が入りこんだんだという妄想を主張するんです。この妄想をうち消すために、妙庵先生は、鼠使いで有名な藤兵衛にたのんで、鼠に餅や小判を運ばせる芸をみんなに見せるのでした……。ところがこれでもまだご隠居は不安で不満なままなんです。泥棒鼠を屋根裏に放置していた伊勢屋に、盗まれた銀の利子を払えと言うのでした。「婆さんの喚き声をとめるには、利子を渡すか、息の根をとめるか、二ツに一ツしかありませんが、死ねば化けて出て尚その上に利子もとるにきまっているから、どうしても利子を払わなければなりません。そこで元日にならないうちに泣く泣く利子を御隠居に支払いました。」ということでご隠居はやっと安心してぐっすり眠ったのでした。