今日は、和辻哲郎の「劉生画集及芸術観について」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
ふつう思想家は他人を褒めずに、批判的に問題点を指摘するもんだと思っていたんですが、今回の哲学者和辻哲郎は、岸田劉生の画業を絶賛しています。日本語に聡い学者が、何かを褒めるとこんなにすごい文章になるのかと、本文と関係の無いところで楽しんで読んでしまったんですけど、和辻氏は、岸田劉生の論文についても検討し、これを論じています。
「享楽的浮浪人としての画家、道義的価値に無関心な官能の使徒としての画家」とは異なる、人々の生に奉仕する思想と画業とが、岸田劉生にはある、というところから記し「人類の内に生き人類の意志を意志とする」芸術の精神について語り、「芸術家のための芸術」とは異なる「美のための美を」つくる芸術について説き、岸田劉生の考える「内なる美」「装飾」「写実」について解説していました。
とくに、ドストエフスキーや『イリアス』や岸田作品に通底している「内なる美」ということを論じた箇所が、興味深かったです。
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