不良少年とキリスト 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「不良少年とキリスト」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 太宰治は、名門や良家というところに妙なこだわりがあったり、志賀直哉が記した文章に太宰治が激しく反応をした、そこに太宰の文学性と人生の秘密がある、というように安吾が指摘しています。坂口安吾は太宰や芥川についてこう書いていました。
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  彼らの文学は本来孤独の文学で、現世的、ファン的なものとツナガルところはない筈であるのに、つまり、彼らは、舞台の上のM・Cになりきる強靭さが欠けていて、その弱さを現世的におぎなうようになったのだろうと私は思う。quomark end - 不良少年とキリスト 坂口安吾
 
  「太宰の一番かくしたい秘密」のことについて、序盤に論考していました。作中に記された「MC」というのは、太宰治の「斜陽」に書かれたもので「私のチェーホフ」あるいは「マイ・チャイルド」または「マイ・コメディアン」という意味があるそうです。
 坂口安吾は大酒飲みで泥酔状態の時にさえいろいろ書いた作家なんですけど、太宰治がアル中でヘベレケだったという、今回の作品に記された箇所はどうも事実から遠いように思うんです。本作に描かれた太宰治の像は、作家の太宰治と言うよりも、坂口安吾が思い描いた、一人の仮想の登場人物として読めるのでは、と思いました。戦後すぐの安吾の死生観が色濃く書きあらわされた随筆に思いました。
 終わりのほうで熱心に、戦争と学問について記しているんですけど、坂口安吾は哲学全般について批判的に記しつつ、こう書きます。
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  私はこの戦争のおかげで、原子バクダンは学問じゃない、子供の遊びは学問じゃない、戦争も学問じゃない、ということを教えられた。大ゲサなものを、買いかぶっていたのだ。
 学問は、限度の発見だ。私は、そのために戦う。quomark end - 不良少年とキリスト 坂口安吾
 

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追記  戦争を抑止する政治学や、核による害を減少させる技術については、学問だと思うんですけれども……。