今日は、アンナ・キングスフォードの「夢日記」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
夢の物語というと夏目漱石の「夢十夜」がお薦めなのですが、漱石のは文学者らしく、物語を加工し整えて美しくする工程があきらかにあって、夢の、野方図で生々しい表現は抑えられています。アンナ・キングスフォードの夢日記は、じっさいに見た夢のことを仔細に記していて、ちょっとなんというか、100年前の学者の夢の中に迷い込んだような迫力がありました。映画的な悪夢の記述があるのですが、学者らしく戦争の歴史と深い繋がりがあるようで、そのような注釈を読むのも興味深かったです。ぼくは自分の夢というと動物的な快不快の記憶ばかりなのですが、学者は見る夢まで理知的なんだとか思いました。
第二夜「素敵な眼鏡」という短編の夢物語が面白く「やぎさんゆうびん」みたいな珍事なのに、それが知的に描きだされるんです。野方図な夢の中でも、賢いのかと……。第十五夜の「老いた若者」がなんだかすごい。二十四の謎めいた夢の物語です。
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