今日は、萩原朔太郎の「秋」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは萩原朔太郎の一篇の詩です。草木と野分という言葉が印象に残ったのですが、与謝野晶子訳の源氏物語「野分」にはこのような一文があります。
今年の野分の風は例年よりも強い勢いで空の色も変わるほどに吹き出した。草花のしおれるのを見てはそれほど自然に対する愛のあるのでもない浅はかな人さえも心が痛むのであるから、まして露の吹き散らされて無惨に乱れていく秋草を御覧になる宮は御病気にもおなりにならぬかと思われるほどの御心配をあそばされた。おおうばかりの袖というものは春の桜によりも実際は秋空の前に必要なものかと思われた。日が暮れてゆくにしたがってしいたげられる草木の影は見えずに、風の音ばかりのつのってくるのも恐ろしかったが、格子なども皆おろしてしまったので宮はただ草の花を哀れにお思いになるよりほかしかたもおありにならなかった。
読み比べてみると、萩原朔太郎の風景描写の柔らかな表現が際立つように思いました。
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