今日は、谷崎潤一郎の「吉野葛」その2を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
友人の津村の勧誘で、山奥まで個人的な取材に出かけた小説家の「私」は南朝の歴史を調べながら吉野を旅行しています。
えーと、本作とはあまり関わりがないのですが、安倍晴明とも関わりの深い伝説があって、葛の葉という謎のキツネがいて、このキツネを助けた安倍保名と白キツネ女が結婚して生まれたのが、童子丸(安倍晴明)であるという、歌舞伎の物語があるんです。伝説と実話が混じるところが、この時代の物語にはいろいろあるようで、谷崎は今回、歌舞伎の「妹背山婦女庭訓」について語っています。wikipediaにはこの歌舞伎のあらすじについて、こう書いています。
大判事清澄と太宰の後室定高は領地争いで対立している。だが清澄の子久我之助と定高の娘雛鳥は恋仲である。二人が仲良く恋を語らっているところへ鎌足の娘采女の局が逃げてくる。采女の局は帝の寵を受けていたが、蝦夷が自分の娘橘姫を帝の后に立てようと望んだことにより身に危険が及び、宮中を脱出したのである。久我之助は采女の局を変装させて窮地を救う。
妹背山には、久我之助と恋人の雛鳥がいた……。そこを「私」がまあ聖地巡礼するみたいに旅している。ほかにも「義経千本桜」とゆかり深い場所もめぐっています。菜摘の里とか、見に行ってみたいなあと思いました。この作品は難解な構成になっていて、ようするに「私」というのはまさに谷崎潤一郎そのものに、かなり近いんだそうです。小説と随筆が、混じりあっているというのか、小説家が歴史的な小説を書こうとしていろいろやっている、それそのものを書いた作品なんだそうです。
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