今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その6を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
幸子の子どもである悦子(悦ちゃん)はまだ玩具でおままごとをする年齢で、それにしては日本語をかなり上手くしゃべるので、ちょっと年齢不詳に思います。
三女の雪子は、この悦ちゃんのことを好きで可愛がっています。結婚して子どもが生まれても、こんなに可愛いと思うことはないのでは、というくらい、雪子と悦ちゃんは、母子以上に仲が良いようです。母親みたいなお姉さんみたいな存在として、姪の悦ちゃんと睦まじいんです。
両親が幸福な時期に育った幸子は温室育ちで、肝心なところでちょっと頼りないところがあるそうです。三女の雪子が、幸子と悦子の母子のあいだにたって、家庭教師みたいに世話をしているところがあるんです。
雪子は献身的に、幸子夫婦のために家の仕事をすることもあるんです。
雪子は、肝心な時期に両親と親交が無かった。ふつうなら夫や子どもとすごす時間も、今のところ無い、いろんな人と深い関わりがあるはずなんですが、雪子はちょうど今なにか深く関わる家族というのが抜けおちているようです。
この雪子が、こんかい谷崎潤一郎が戦時中に描こうと思った主人公なんだろう、と思いながら読みすすめています。読み方としては正しくないと思うのですが、おそらくウクライナの現代文学でいま、谷崎の細雪のようなすぐれた作品が描かれているところなのでは、と思いました。
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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)