今日は、下村湖人の「論語物語」その28を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
論語物語は今回で完結です。
孔子が広く知られるようになったのは、孔子の没後千五百年くらい経った宋の時代からなんだそうです。孔子が生きた時代から百数十年後に、弟子たちが編纂して孔子の本がまとまった。哲学者の和辻哲郎はこういうように記しています。
漢の儒学はその孔子理解を通じて漢の文化を作ったのであり、宋学もその独特な孔子理解を通じて宋の文化を作ったのである。が、これらの歴史的発展を通じて魯の一夫子孔子は人類の教師としての普遍性を獲得した。
孔子の晩年の仕事を、下村湖人はこう記します。
門人たちに道を説くことのほかに、中国において孔子にゆるされている、ただ一つの仕事は、古典の究明である。政治の実際に当って舵をとるには、彼の智慧は、諸侯の心とあまりにへだたりがあり過ぎた。そして、彼自身でも、彼の中国に対する最後の、そして最上の贈物が、倦むことなき古典の究明であることを、も早や知りすぎるほど知っているのである。
下村湖人はさいご、孔子と泰山を象徴的に描きだしていました。泰山にはいつか行ってみたいなあと、思うような描写でした。ぼくは「老子」が好きなんですけれども、唐の韓愈によれば、孔子が老子から教えを受けたという説は否定されているのです。ぼくとしては、下村湖人が考える、孔子と老子の出会いの記述は重要に思えました。論語を読み終えたら、こんどは老子を学びたいように思いました。
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「論語全集」は、下村湖人の「論語物語」「現代訳論語」の二作と、和辻哲郎の「孔子」と中島敦の「弟子」、合計四冊をひとつに収録した、論語を学ぶためのアンソロジー電子書籍です。原稿用紙約千三百枚の大容量作品になっています。下村湖人の描く論語物語では、貧しくても「道を楽み」豊かになっても「礼を好む」というエピソードから物語が始まります。
【第一巻】「論語物語」下村湖人
【第二巻】「孔子」和辻哲郎
【第三巻】「弟子」中島敦
【第四巻】「現代訳論語」下村湖人
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追記
次回から漱石の本を読んでゆこうと思います。