破戒 島崎藤村

 今日は、島崎藤村の「破戒」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この小説は、文章は優しい言葉で記されていて読みやすいのですが、内容が難しく、登場人物も多いですので、wikipediaの文学解説と同時に読み進めてみてください。ぼくは藤村の「若菜集」が好きで、その作者がドストエフスキーのような群像小説を書いたということで、読んでみたいと思っていました。
 四年前に、ある選書リストにマーティン・ルーサー・キングの著書『黒人はなぜ待てないか』という書籍と同時にこの、藤村の『破戒』のことが紹介されていて、それでこの小説を読みはじめました。難読書ですので一気に読み終えることはできないかと思いますが、ぼくは一日に一章読むことにして、二十日間かけて読んでみました。
 古い話しなんですけど、後半でアメリカに渡り移民として生きる可能性について少し記されていたり、主人公丑松の、父とは異なる思想を持った猪子先生への思いの描写があったり、新しい時代にも通底している普遍的な描写がさまざまにありました。「坊っちゃん」や「こころ」を書いた夏目漱石も、この「破戒」を高く評価していて、近代の代表的な文学であるように思います。
 島崎藤村はこの本を自費出版で出している。僕が印象に残ったのは、主人公の丑松が古里でつくってもらった、竹の皮につつまれたおにぎりの描写なんですけど、近代の魅力は、貧しさにも豊かさにも深く関わった作家がいるところではないだろうか、と思いました。
 

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