今日は、夏目漱石の「門」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは漱石の代表的な三部作「三四郎」「それから」「門」のなかの、最後の作品にあたる本なのですが、これから読みはじめてもまったく問題ない、独立した物語です。
ぼくはこの本を一日一章、二十日間ほどかけて読んだんですけど、主人公の宗助は崖の下に住んでいて、七章から八章あたりで、崖の上の裕福な家に泥棒が入る、という展開があって、この地味だけど奇妙な事件が印象に残りました。
「門」ではモノやヒトの、不可思議な移動というのが象徴的に描かれているような気がしました。そのひとつとして泥棒のエピソードがあるのではなかろうか、とか思いました。作中で、主人公と妻の二人に関する描写で、こういう一文があります。
そうして二人が黙って向き合っていると、いつの間にか、自分達は自分達の拵えた、過去という暗い大きな窖の中に落ちている。
このように閉塞した心理から、どのように考えて次に進んでゆくのか、というのを追ってゆくのが興味深かったです。
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